「だらしなくて共感出来ない主人公」お買いもの中毒な私! Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
だらしなくて共感出来ない主人公
総合50点 ( ストーリー:30点|キャスト:55点|演出:75点|ビジュアル:70点|音楽:75点 )
本当は自分の収入と支出という単純な比較と計算も出来ず、借金まみれでもなお平気で買い物を続けるような馬鹿女は嫌いである。しかし通りのショーウインドーからマネキンが手招きをしたりする演出がわかりやすくておかしい。たいして実力もないのに、運を味方に七転八倒しながらもうまく転がっていく、馬鹿馬鹿しいほどの喜劇だった。成功を機に過去を改めてまともな人に変貌するという、ありがちな話だけど成長も見られる。
でもね、やはりこんなだらしなくて努力もしていない生活を送ってきて、その当然の結果として記者としての実力もない人が、とんとん拍子で成功してはいけないとも思う。作品中で高い評価されている彼女の書いている記事なんて本当は全然たいしたことがない。世の中には才能もあって努力もしていてそれでもなお成功出来ない人だってたくさんいるのだから。そもそも買った瞬間に価値が暴落する服飾品を売りとばしたところで、それで簡単に借金が返せるなんて話が優しすぎる。借金を返さない主人公が悪いくせに、借金を回収しようと当たり前のことをする人を悪役に描くのも不快。
だから彼女を無条件で祝福しようとか応援しようという気にはならなかった。歌も演技も下手なのに、事務所の力があるからとか時流にたまたま乗ったからという理由で売れている芸能人を見ているかのよう。やはり自分は主人公の彼女に共感出来なかったし、最後まで見ても最初の悪い印象をぬぐうことが出来ず、どうしても彼女が好きになれなかった。その意味で本作は「ワーキング・ガール」や「摩天楼はバラ色に」と似ているようで決定的に異なる。上記作品と異なり、本作では主人公が成功のために本気の努力をしていない。もっと厳しい試練を乗り越えて成長する物語か、もっとまともで努力を惜しまない人が主人公であったならば、もっと好きになれた作品だったろう。