「吐息 心 風」空気人形 ミアさんの映画レビュー(感想・評価)
吐息 心 風
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「ワンダフルライフ」は「死」の方から「生」を振り返った作品だったが、
「空気人形」は「誕生」から「死」までの映画だった。
空気人形の腹部の空気穴は、へその緒そのものだ。
あと2週間ほどで15歳になる娘に、あらすじを話したら「重い映画だね。
だけど見たい!」とのこと。残念ながら娘が15歳になる日にはわが町での
上映は終わっているし、この重いけれど軽やかな寓話を彼女がきちんと
受けとめられるかどうか不安でもある。
こんなに寂しくて、キレイで、悲しくて、暖かい映画は見た事がない。
のぞみが最後に見た自分の誕生日パーティーの幸せな夢は、ワンダフルライフの上映会(命=心が消えていく旅立ちの時のための)にも通じる。
のぞみは産まれて、心を持って、生きた。
「空っぽだ」と言う純一に命を吹き込もうとのぞみが彼の腹部に穴を開けた場面、私は純一が彼女との交歓の中で自殺したと錯覚してしまった。
他にも見落とした事が沢山あるような気がして、是枝監督がこの映画のアチコチにちりばめたメッセージをしっかりと受け止めるためにも、もう一度映画館でじっくり味わいたくなった。
最後に、のぞみの吐息でたんぽぽが風と共に、彼女の周りの寂しい人達に届く。さわやかで深い余韻が残る。
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