「静なる虐待誇示。」チェイサー(2008) ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
静なる虐待誇示。
かなりの前評判と、その衝撃性からして…どうしようかと迷い
ホラー嫌いの自分はおそらく観ないだろうと思っていた作品。
ところがそういう時に限って、チャンスは巡ってくる^^;
思いきって入った劇場の、入り口に張ってあったポスター。
この二人の表情、すごくいいなぁ。(チラシも同様↑)
申し訳ないけど^^;私は内容よりポスターに見惚れてしまった。
実際に韓国で起きた連続猟奇殺人事件がベースとなる本作は、
冒頭からイヤな雰囲気と気味の悪さが充満し、観ている側の
探究心と拒絶反応を交互に狙うかのような巧みな脚本である。
お国柄特有?の荒々しさも相変らずで、それほどの衝撃性は
私には感じられなかったが、なにしろこちらは主人公と犯人の
やりとりに一寸の脇見も出来ないため^^;けっこうな緊張感を
強いられる。主演二人の好演は(撮影キツかったらしい)見事だ。
女性には散々な話、となるため…観る人を選ぶ内容であるが、
それよりイライラしたのが、韓国警察の超的外れ怠慢捜査だ。
そもそも重要参考人として何度も他警で捕まり、その後
釈放されている奴を、なんでそう簡単に逃がしてしまうのか。
しかもあの安っぽい裏付捜査と、援護すらつかない女捜査官、
彼がどれだけの女性を殺したのか(当り前だけど)把握できない
バカ連中が右往左往している間に、核心部分へどんどん迫る
元刑事。。アンタ、なんで辞めちゃったわけ?なんて思いつつ、
(のちにその理由も判明)最後の人質に、何とか助かってほしい!
早くあの家を見つけてくれ!と息をもつかせぬ緊張感が走る。。
観客もこの結末のチェイサーと化していくわけね。巧いなぁ。
でも、そもそもの話。(これを言っちゃあ)なんだけど、、
デリヘル嬢が怖い目に逢うというのは、統計的にどうなんだろう。
まったく有り得ない話ではないし、そもそも簡単に大金を稼ごうと
(元締めも同じ)そういう精神性が悲劇を招いてるんじゃないのか?
ここでは大変清純そうな顔をしたヒロイン(子持ちの)が出てくるが、
そこで共感を得よう!ってのはあまりに単純だと思ってしまった。
(やってることはみな同じ)
しかも子供まで可愛いので、元刑事が連れ歩く始末…レオンか?
怖い目に逢いたくなければ(携帯の伝言が哀しい)自分で自分を
貶めるようなことはしないに限る。これはデリヘルに限らないけど。
ロケ地は別だったらしいが、実際の地名を使っているため、
その辺りは不気味だという噂が広がり、地価が下がったそうだ。
ヒットはすれども、女性にも町にも災難な映画だったわけね。
(しかしディカプリオ君は、ホントにこういう作品が好きだなぁ~)