「救いの無い似非ドキュメンタリー」パリ20区、僕たちのクラス 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
救いの無い似非ドキュメンタリー
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全く救いの無い似非ドキュメンタリー作品。
一見ドキュメンタリー映画の様に見せてはいるが、実際は主人公の国語の先生が歩く・喋る・憤る一歩先を、常にカメラが回り込むポジションから撮影されている。この《川口浩》状態のオンパレード。
これは作品全体にシナリオが存在しており、それに基づいて撮影されている。
観ていてもフランスの社会生活に於ける人種の問題等は、フランスの教育現場に於いて切実な問題なのだなぁ〜と、実感出来る。
だからこそ、何故似非ドキュメンタリーの手法を取っているのか?…は、さっぱりと理解出来ない。
まだそれとなく観客側にバレない撮影ならばわかるが、とにかく全編で似非ドキュメンタリーとわかる。例えば、転校生がやって来ればカメラは反対側へ…。
問題児が教室を退出させられる場面では、前と後ろからカメラが待ち構え、怪我をする女子生徒の顔をご丁寧にアップで撮影…と。終始こんな感じで映画は進んで行く。
そんな撮影や・編集では、誰も「これはドキュメンタリーなんだ…」とは普通感じ無いんじゃないかな?これではどう観ても“やらせ”だ!
内容自体もの凄く面白い。小さな波紋が、やがて大きな津波となってクラスや学校にのし掛かって来る辺り等は、上映時間の2時間以上を全く退屈させずに見せ切ってしまう。
それだけに、「どうです!僕の演出プラン?」的なしたり顔が、スクリーンの向こう側から透けて見えるのが、どうにも個人的には我慢がならなかった。
(2010年7月16日岩波ホール)
※日付けは公開年度
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