「実に演劇な映画」曲がれ!スプーン わたぼうさんの映画レビュー(感想・評価)
実に演劇な映画
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演劇好きな本広監督による小規模コメディ。原作は劇団「ヨーロッパ企画」の「冬のユリゲラー」というお話で、「サマータイムマシン・ブルース」に続く本広監督とヨーロッパ企画のコラボレーション。
演劇というのは、舞台上でリアルタイムで進行するため場面が限定される。小さな空間で観客に風景を想像させないと伝わらないので、コロコロ変わっていては頭が追いつかない。そのため本作も、映画のほとんどを「カフェ・ド・念力」の中で繰り広げられる。
スケールは小さく、しかし内容は薄っぺらくない良い映画だ。
これは爆笑系ではなく、くすっと笑えるタイプの映画です。
すでに恒例になりつつある、本広作品共通の登場人物が何人か登場していて、「サマータイムマシン・ブルース」で助教授役だった佐々木蔵之介や「UDON」にも出ていたヴィダルサスーン3人組。「踊る大捜査線」から寺島進らがチョイ役ながら出演している。
残念ながらユースケ・サンタマリアと真木よう子は登場しなかったが。
最近は「大人計画」の宮藤官九郎を筆頭に、演劇出身からメジャーになる人物や作品が一定数出現している。これはリテイクなしの一発本番で観客を引きつけなければならないゆえに作り込まれた脚本が魅力だからかもしれない。
今作で唯一疑問だったのは、主演が長澤まさみだったこと。
やはり興行的にヒットさせるためには目玉が必要だから売れっ子女優を起用したのだろうか?
主演と言っても長澤はあまり登場しない。
個人的に長澤まさみの演技は一本化してしまっている感があるのでそこはいただけなかった。
だが、作品としては良作で、見て損はないと思う。
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