劇場公開日 2009年12月26日

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「【“納竿”人情と、人の絆の大切さを笑いで描いた、戦後の多数のサラリーマンに笑いと勇気を与えたシリーズ最終作。ラストにスーさんが全社員に対し行う名スピーチが素晴しき掉尾を飾る作品である。】」釣りバカ日誌20 ファイナル NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 【“納竿”人情と、人の絆の大切さを笑いで描いた、戦後の多数のサラリーマンに笑いと勇気を与えたシリーズ最終作。ラストにスーさんが全社員に対し行う名スピーチが素晴しき掉尾を飾る作品である。】

2025年8月28日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

知的

幸せ

■いつもの釣り仲間の伝手で、ゼネコン不況に喘ぐ鈴木建設に大型受注を獲得した浜ちゃんは、”会長賞”を貰い、休暇を取ったスーさんと、スーさんの且つての親友の娘、葉子(松坂慶子)の娘(吹石一恵)がいる北海道に釣り旅行に行く。
 そこで、娘が牧場の跡取りの青年俊介(塚本高史)と同棲している事が分かり、ひと悶着起こるが、浜ちゃんが間に入って解決。浜ちゃんは俊介と護岸工事がしていない豊かな川をカヌーで下り、幻の魚イトウを釣り上げる。
 東京に戻った浜ちゃんたちだが、ある日スーさんが昏睡状態になってしまう。

◆感想

・今作では、いつものように人間の絆と人情の大切さが、北海道の大自然の中で描かれて行く。

・スーさんが且つての親友で、事業に失敗し自殺した男の娘が営む小料理店を長い間、贔屓にしている事や、親友の娘を常に大切に見守っていた事が描かれている。

・今作に華を添えるのは、矢張り北海道の大自然である。護岸工事がされていない河を、カヌーで進むシーンは、故野田知佑氏の本で描かれていた事を思い出す。

・そして、東京に帰ってからの、スーさんの入院。浜ちゃんが夢で見た三途の川のシーンがとても可笑しい。そして、三途の川に落っこちたスーさんは生き返るのである。

■今作のラストで、スーさんが会長職を引くときの、全社員の前で行ったスピーチが素晴しい。
 ”雇用に手を付ける時には、経営陣が責任を取る。”
 現代、この言葉を実践できる経営者が、日本にどれだけいるであろうか。社員を駒の如く使い回し、不要になったら切り捨て、自分達は高額報酬を受け取る経営陣が実に多い中、この言葉は貴重である。
 流石、山田監督である。

<人情と、人の絆の大切さを笑いで描いたシリーズ最終作。ラストにスーさんが全社員に対し行う名スピーチが素晴しき掉尾を飾る作品。
 それにしても、山田洋次監督は25年11月に91作!目となる「TOKYOタクシー」を公開する。フランス映画の「パリタクシー」を原作にしているが、どのように仕上げているのか、実に楽しみであるとともに、山田洋次監督は最早現代邦画の巨匠中の巨匠である事は間違いないな、と思うのである。>

NOBU
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