劇場公開日 2020年1月17日

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「家族の肖像」サマーウォーズ ストレンジラヴ氏さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0家族の肖像

2023年7月30日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

興奮

「よろしくおねがいしまああああああああああす!」

金曜ロードショーでのながら見しかしていなかったことと、「巴里のアメリカ人」+「キャンディード序曲」なオープニングを劇場サウンドで聴きたかったので鑑賞。
細田守作品の中ではMy Best。
本人の弁には名前が出てきていないものの、どうもスタンリー・キューブリックの息遣いが見え隠れしている。些細な出来事から全世界規模のトラブルが反省する展開は「博士の異常な愛情」(1963)だし、その首謀者がAI(言い換えればコンピュータ)であるのは「2001年宇宙の旅」(1968)そっくりだ。
本作の凄いところはその先見の明にある。劇中で説明がされていたように、公開当時まだ「アカウント」という言葉すら世間では一般的ではなかった。TwitterをはじめとするSNSが普及したのは翌年以降のことで、それを示すように登場人物の中でスマートフォンを使用しているのは「ラブマシーン」開発者の侘助だけで、あとは全員ガラケーだ。そんな時代にOzというプラットフォームを舞台にここまでの作品を創り上げたこと自体がとんでもないことと言える。
登場人物では侘助、アバターでは夏希がとても好きなのだが、やっぱり自分でアバターを持つならばキングカズマに憧れるのが男の性というもので、昔会社のシステムで自分専用のビューを登録する際に「キングカズマ」名義で登録したことを思い出した。
デジタル化された世界だからこそアナログが冴え渡る、そんな作品で、「いけないのは腹を空かせることと独りでいること」という栄おばあちゃんの言葉がクソ暑く道路が狭くゴミのように人が多い現代日本に突き刺さる。

※1武田遺臣の末裔という陣内家の設定だけあって、栄おばあちゃんの連絡簿の名前に笑ってしまった。板垣、山本って重臣中の重臣じゃないですか。多分山県、馬場、高坂も名簿の中にいただろうし、何より陣内家のご先祖様は恐らく草刈正雄さんそっくりの顔立ちだったんだろうね。
※2ボードゲームやカードゲームの類がからっきしダメな僕が唯一徹夜までしてのめり込んだのが花札(こいこい)でした。でも度胸ないからほとんど月見で一杯/花見で一杯で上がってしまうので、せいぜい雨四光くらいまでしかやったことがない。一回の対戦で三光こいこい→猪鹿蝶こいこい→雨四光こいこい→赤短こいこい→五光は...まあ無理だわ。

ストレンジラヴ