「南極なのに関係ない気さえしてくる…お腹が空いて心が満たされる良作」南極料理人 たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
南極なのに関係ない気さえしてくる…お腹が空いて心が満たされる良作
2009年公開の作品を川越スカラ座が新春ということで、沖田修一監督作品をセレクト。寒いのに暖かい。余韻もポカポカする…。さすが…。
舞台はもちろん南極。だけど、昭和基地じゃなくてドームふじ基地。富士山よりも高い標高を舞台に、8人のおじさんたちがのほほんとテーブルを囲む。どんな時でも腹が減って、美味しいものは食べたくなる…。なんて思っていたのは実は料理人だけだったり。腹を満たせれば良い!って人もいれば、ラーメンがないと寝れない隊長がいたり…。あれ?ホントに南極?っていうくらい、ほのぼのしている。
それでも南極特有の大変な実情は伝わってくる。ちょっと日の進みが分かりにくいのは惜しかったが、季節に合わせて食卓を彩る料理はどれもお腹を空かせてくる。また、斜めになったアングルや長回し…独特の空気が心を満たしてくれる。
久々に「名前だけ知ってる」作品を観たのだが、堺雅人主演だったのね。相手の受けも丁寧で愛嬌もある。良きお父さんにして1歩引いた姿勢も似合う。そして何より小野花梨!観て思い出したけど、噂どおりの娘って感じ!すでに演技力も確かにあるし、いい娘。豊原功補のドクターも好きだったな…ハードボイルドな役のイメージがあっただけに新鮮。
川越スカラ座の方に『モリのいる場所』と『子供はわかってあげない』と共に組んだ理由を訪ねてみた。すると、「温かい気持ちになれることと、シアターエイドで未来チケットを買ってくれた縁」からだそうで。なんかステキ。そんな人柄も詰まった映画だった。最後のセリフまでドキッとして、夜風にご飯の匂いが乗ってこないかな…なんてことをふと思った。
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