劇場公開日 2009年8月8日

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「個性派キャストのアンサンブルを味わう逸品」南極料理人 AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5個性派キャストのアンサンブルを味わう逸品

2020年4月30日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

楽しい

幸せ

久しぶりに再見。沖田修一監督作はお気に入りが多いが、2009年公開の本作は「キツツキと雨」「横道世之介」と並ぶ私的ベスト3だ。南極観測隊員を演じる面々には、映画初主演を果たす前の高良健吾を筆頭に、古舘寛治や黒田大輔らこの10年で格が上がった俳優も多く、今観ると贅沢な顔ぶれだとの思いを一層強くする。

原作のエッセイ本の題は「面白南極料理人」だが、映画化で“面白”を外したのは正解。観たらすぐ分かるように、堺雅人が演じる料理人の西村が面白いわけではなく、観測基地で個性的な隊員たちと過ごす日常や巻き起こるハプニングが、穏やかな笑いや大爆笑をもたらすのだ。さらに言えば、南極の中でも隔絶された高所にある基地でのさまざまな不便、家族と長期間会えない寂しさなども丁寧に描かれ、ユーモアとペーソスの配分もばっちり。沖田シェフが素材を活かして絶妙に味付けした逸品料理と相成った。

高森 郁哉