「新オーケストラ員採用面接での個々の楽器の音色が聞けたこと、そしてオーケストラ曲の解説が嬉しかった」のだめカンタービレ 最終楽章 前編 Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
新オーケストラ員採用面接での個々の楽器の音色が聞けたこと、そしてオーケストラ曲の解説が嬉しかった
武内英樹監督(翔んで埼玉、等)による2009年製作(121分)の日本映画。配給:東宝
原作漫画もTVアニメ・ドラマも見たことがなく、のだめ初体験。
ポンコツオーケストラが指揮者千秋(玉木宏)と仏頂面のコンサートマスター(マンフレッド・ヴォーダルツ)によりまともなものになっていくストーリーはベタだが、かなり心を動かされた。妻に出ていかれタクシー運転手しながらのオーボエ奏者(ニコラス・コントス)の保育園娘(ルカ・プラトン)をのだめ達が預かった際、パパが夜遅くまで練習に励んでいることを訴えるエピソードが良く効いていた。
加えて、新オーケストラ員の募集面接により、チョロ、バイオリン以外にもオーボエやファッゴット(実際にはバソン)と、色々な楽器の音色を聞かせてくれたのが、オーケストラに詳しくない自分にはとても嬉しかった。
昔かなり慣れ親しんだ、ドジで美女ではない主人公がイケメンに相手してもらえるという少女漫画の王道ストーリーがベースに有り、ある種の懐かしさは感じた。また映像舞台がウイーン楽友協会(ウィーンフィルハーモニー管弦楽団本拠地)から始まりメインはパリで、更に海外のオーケストラ員たちが準主役的に描かれており、豪華感はあった。
上野樹里がらみでのアニメまで活用したコミカルな演出が印象的だが、映画第一作目ということもあってか、跳んで埼玉の様な完全に弾けた感じにはなっておらず、のだめ池ぽちゃシーン等、中途半端感は感じた。
とは言え、オープニングのベートーヴェン: 交響曲第7番 - 第1楽章 から始まり、解説付の
ラヴェル: ボレロ (千秋代打によるマルレ・オケ演奏曲)、ドヴォルザーク: チェロ協奏曲ロ短調 Op.104 - 第1楽章(オーディションでのチェロ副主席ダニエルの演奏曲)、モーツァルト: オーボエ協奏曲 ハ長調 K314 - 第1楽章 (オーディションでの黒木&ターニャの演奏曲)、詳しい解説と共に演奏されるチャイコフスキー: 祝典序曲「1812年」 (千秋就任記念のマルレ・オケ演奏曲)、J.S.バッハ: ピアノ協奏曲第1番 - 第1楽章 (マルレ・オケ演奏、千秋の弾き振り)、チャイコフスキー: 交響曲第6番「悲愴」 (マルレ・オケ演奏曲)等の演奏は、ピアノ曲以外のクラシック音楽も学びたいと考えている者には有り難く、魅力大であった。
監督武内英樹、製作亀山千広、エグゼクティブプロデューサー石原隆、 和田行、 吉羽治、 畠中達郎、 島谷能成、プロデュース若松央樹、プロデューサー前田久閑 、和田倉和利、原作二ノ宮知子、脚本衛藤凛、撮影山本英夫、照明小野晃、録音柿澤潔、編集松尾浩、監督補川村泰祐。
出演
上野樹里、玉木宏、永山瑛太、水川あさみ、小出恵介、ウエンツ瑛士、ベッキー(ターニャ)、山口紗弥加、山田優。谷原章介、なだぎ武、福士誠治(黒木)、吉瀬美智子、伊武雅刀、竹中直人。