「次は日本アカデミー賞ノミネート作発表で、日本映画界の勇気が試される」沈まぬ太陽 septakaさんの映画レビュー(感想・評価)
次は日本アカデミー賞ノミネート作発表で、日本映画界の勇気が試される
映画化決定の知らせを聞くと
同時に、全5巻の文庫本の読書開始。
一気に、読みきった直後に頭をよぎったのは、
「これ、本当に映画化できるのか?2時間で収まるのかな?」
事実、製作前は前後半に分けようという意見も
出たそうですが、原作者山崎豊子さんから出た
映画化の条件が「1本にまとめて作ってください」。
最終的に、途中10分の休憩を挟み、
3時間22分で完成をさせることとなりました。
御巣鷹山ジャンボ機墜落事故
某航空会社からの抗議もあり
映像化の話があるたびに流れてきたそうです。
そんな紆余曲折を経た上での力作。こちらも
覚悟をして見届けよう!なにやらいつもより力を込めて上映開始を待ちました。
★彡 ★彡
凄まじいものを見せつけられたな
渡辺謙さん。そりゃ、公開初日に感極まるよな
オープニングから泣いていました。
エンドロール中、涙が止まりませんでした。
劇場に灯りがともっても、しばらくの間、席を立てませんでした。
“渾身の一作”
まさにこの言葉がふさわしい大作でした。
これ以上、この映画に関して言葉が出てきません。
◇ ◇
豪華出演者の中で、
一番心を打たれたのは、
遺族役を演じられた木村多江さんでした。
特に、後半に登場されたとき、
場の空気を一瞬にして変えてしまう姿に
驚くと同時に、胸がつまってしまい、涙が
とめどなく流れ落ちてしまいました。そこには本物の遺族の姿がありました。
ちなみに、
今作のエキストラさん。
実際に御巣鷹山事故の遺族がいらっしゃったそうです。
体育館に置かれた棺の前で本当に涙を流されていたそうです。
そんな、
遺族を含めた
熱い思いに、この映画は支えられているのです。
映画を思い出し、
レビューを書きながらも涙が止まりません。
★彡 ★彡
どのタイミングで休憩を入れるのか。
これにも関心があったのですが、バッチリ。
休憩明け。集中力が途切れかけていたお客様たちも、
渡辺謙さんと石坂浩二さんの2人を前にして、映画の世界へと吸い込まれていました。
これで注目は日本アカデミー賞に移りました。
ノミネートをする勇気が関係者にあるかどうか。
前段階として東京国際映画祭関係者に、その勇気はありませんでした。
10月24日土曜日、映画祭開催会場映画館にて大々的に上映をしたのは、
日本映画関係者のせめてもの矜持と解釈していいのでしょうか。
日本の映画界が試されている
そう言っても過言ではないでしょう。
審判が下されるときを静かに待ちたいと思います。