「コンセプトはリアル」映画は映画だ 114645さんの映画レビュー(感想・評価)
コンセプトはリアル
クリックして本文を読む
映画俳優とヤクザで映画を撮るという異質な映画。
リアルな世界観に冒頭から引き込まれた。
ダブル主演の2人がとても良い演技をしていた。
影響され合う2人、それぞれのストーリー、ぶつかり合う芝居という名の感情。
映画とは思えない程のリアルがあった。
『映画は映画だ』というタイトルには映画は所詮、
偽物と軽蔑した上でリアルを映画で魅せようという意図があったと思った。
ラストシーンは賛否両論だと思うが、ヤクザのガンペが映画俳優のチャン・スタに『映画は映画だ』と言っているようにヤクザの世界を見せ、警察に捕まった時初めて笑って見せたのが印象的ではあったが、奇怪だった。そしてその後の編集は蛇足だと思った。
劇伴は韓国映画を見慣れない自分としては韓国ぽさを物凄く感じる部分になってしまった。
何かもっと直接伝わってくるようなものがあれば評価が上がったと思うが、ソ・ジソブの落ち着いたリアルな演技しか残らなかった。
伝えたいことがハッキリしないと良い演技も良い世界観も台無しになるのだと分かった。
リアルは誰かに何かが伝わるものなど無く今を生きるだけということか、これがリアルなのか、いや『映画は映画だ』。自らが発見した何かを人に伝えてこそ、その価値がある。ただリアルを求めるだけでは社会見学と同じだ。観客の体験したことのないことで非日常を描くのは観客の記憶とリンクさせることは難しい。観客のリアルの記憶と作品とをリンクさせて考えさせるようなタネを蒔くのが大切なことだと思う。非日常を描いたなら、日常のどことどうリンクさせるかよく考えて話を作る必要がある。只の非日常の切り取りなどフィクションにすぎない。だけど所詮、『映画は映画だ』。
コメントする