ジェネラル・ルージュの凱旋のレビュー・感想・評価
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ルージュの真実。
原作を読んでいない私は、前作で謎解きの面白さに仰天した。
ミステリー度とテンポの良さでは前作に及ばないものの、
堺雅人を中心としたドラマの底力と救急医療問題がメインで、
かなり重苦しくなるはずの展開を、例によって田口と白鳥が
ボケとツッコミ漫才のノリで飄々とかわしていく内容だった。
良いか悪いかは別として、かなり自分にはグッとくる話だった。
ちょうどこれを観る少し前、とある医師が書いたコラムを読んで
いて、その内容とは救急医療問題だった。。なんてタイムリー!!
そして、現役医師の海堂尊が訴える今作の内容が、
ほぼ同じくそのコラム内でも訴えられていたのである。。
あ~そうなのか…そういうことだったのか。と肩を落とした。
耳にタコができるほど、ニュースになっている話でもある。
妊婦受け入れ拒否ののち、死亡という悲しいニュースもあった。
医療問題の知識すらない私には「何やってんだ、病院は!!」
としか思えなかった。いったい、何のための救急医療なのか!?
いざという時に機能しない救急医療なんて、あり得ないだろうと。
今作を観て…涙が出た。悔しくて悲しくてやりきれない。
ここで描かれることは、まるっきり絵空事などではないのだ。
一応ミステリーなので、あまりネタばれはできないけれど、
医療行政の在り方から考える必要があるとハッキリ分かる。
堺雅人は、ほぼ独檀場の演技を魅せている。
最後の最後までその本性が分からないと思える彼の全てが
ラストで一気に明かされると同時に、
ジェネラル・ルージュの真の意味が明らかにもなる…^^;
うん、これは…この役は…彼で合っている。(と思った)
間違っても高島政伸とかじゃなくて良かった。(そう思う)
チュッパチャプスを見ているだけで懐かしく、
確か当時は…50円だったか??なんて思いながら計算した私。
(欲に志が歪むのも人間。負けない意志を持てるのも人間。)
春休みに一番のオススメ
現代医療の問題点に深いメス?!
『チーム・バチスタの栄光』に続く、海堂尊の小説の映画化第二段。今回は、東城大学付属病院救命救急センターが舞台。センター長と業者の癒着のスキャンダルが、思わぬ方向へと進んでいきます。
当然ですが、田口が原作とは異なり女性となった設定は前回のままです。で、今回、田口(竹内結子)・白鳥(阿部寛)の凸凹コンビの調査の対象となった救命救急センター長速水晃一を演じるのが堺雅人。この堺雅人の演技、良いですねぇ。鬼気迫る雰囲気で救急救命行為を行う医師を非常に上手く演じています。って言うか、彼をイメージして海堂は原作に描いたのでは無いかと思うほどでした。
花房看護師長を演じるのは、羽田美智子。原作のイメージでは、もう少し厳しい人と言うイメージでしたが、映画では、凛とした雰囲気を持つ、有能な看護師を見事に演じていました。
それと、やっぱり、竹内結子と阿部寛は役者ですね。双方共に、非常にいい演技です。竹内結子って、なんであんなにいろんな役を演じられるんでしょうね?
医師と業者の癒着と言うことが今回のスキャンダルのトリガーになっているんですが、本質的問題として描こうとしたのは、救命救急センタースタッフたちの過酷な勤務状態と、導入が進まないドクターヘリなのではないでしょうか? どちらも、いまの日本の医療制度の中で問題になっていますから、医師と言う立場から海堂尊はどうしても語り掛けたかったのではないかと思います。
二作目と言うと、大概一作目よりも低い評価になりがちですが、これは必ずしもそのジンクスに当てはまりません。物語後半の病院を緊急事態に巻き込む大規模災害(火災)の描き方といい、非常に良い作品だと思いました。原作では、この『ジェネラル・ルージュの凱旋』と平行して『ナイチンゲールの沈黙』が進んでいるんですが、こちらの映画化はされるのでしょうか?
お薦めです!
一番茶
堺雅人が大きく見えた
境さん扮するキャラがいい^^
終盤が良かった!
気分爽快!愉快痛快!サイコー!やられますってばばんばんの巻
救急医療の危機を描く社会派の作品にグレードアップ。堺雅人の最高の演技だと思います。
前作と比べて、殺人事件を描く医療ミステリーよりも救急医療の危機とドクターヘリの必要性、そして医療倫理と病院経営の矛盾を鋭く告発する社会派の作品にグレードアップしています。医療ミステリーとしても、意外な犯人と解決の過程を描き、主演二人のコミカルでも楽しませてくれる必見の傑作となりました。
見た人なら映画『感染列島』で、パンデミックの恐怖を感じたことでしょう。その最前線となる救命医療が、こんな危機的状況にあるのかと知ってぞっとなった次第です。
パンデミックでなくても、大規模な火災発生に、充分対応していけるだけの能力が今の救急指定病院にどの程度あるのか、本作を見て心配になりました。
その危機感を代弁するのが、救命救急センター長の速水。
彼は救急医療でたった一人の患者のいのちを救う為なら、どんなに自分が憎まれても、非難されても、貫き通すタイプ。その強引さでジェネラル=将軍と影で呼ばれて、部下からも嫌われていたのです。ただ嫌われていたのでなく、業者との癒着を内部告発されて、田口が委員長となっている倫理委員会の査問にかかります。
査問に登場した速水は衝撃の告白をします。そして誰が彼を告発したのかも明らかに。告発したのは観客から見ても、すごく意外な人物でした。
査問に前後して、業者との癒着の証拠となるものが救命救急センターの隠し部屋に置いてあることが、何度か暗に示されます。速水が貯め込んでいたものは、キアヌ主演『フェイクシティ』の所長室の壁にあったような札束か金の延べ棒か!
何せ速水は、異常で挙動不審な人物。冒頭で示されるのは、10年前のデパート火災で、病院のキャパを越えて患者を全部受け入れてしまう異様さが示されます。当時から速水は、現場がどんなに抗議しても、何かに取り憑かれたように、患者を受け入れ続けました。その余りの独善、横柄さが災いして、彼はジェネラル=将軍と呼ばれるようになったのです。
さらに、業者から賄賂らしきものを受け取るところを田口医師に目撃されてしまいます。そのすぐあとに業者が飛び降り自殺したとき、これはきっと速水が犯人だろうとすぐ思いつきました。
今回の悪役はこの人に間違いない!でも速水を演じている堺雅人が悪役とは珍しいなぁと思ったのです。だけど・・・。
とにかく今回は、堺雅人が凄い!
まず微妙な感情の変化です。普段の速水は惚けたキャラなんですが、ひとたび救命を語り出すと目つきが異様に鋭くかわるんですよ。
そして、場を飲み込む演技力。憎まれ役の速水であるのにです。一人でも多くの患者を救いたい!という速水の眼差しは、瞬く間に観客の気持ちを鷲づかみしてしまうほどの凄さを感じました。
特に念願のドクターヘリを見つめる彼の眼差しは尋常ではありませんでしたね。
きっと皆さんも、堺雅人が演じていることすら忘れて、劇中の速水の気持ちにそうだそうだ!と同化されてしまっているご自身に気がつかれることでしょう。
だからラストであの隠し部屋が開いて、それが何か明らかになったとき、涙でぼろぼろになった次第です。
『アフタースクール』、『クライマーズ・ハイ』と出演作を見てきて、これが堺雅人の最高の演技だと思います。
ところで、堺雅人の熱演の影で肝心の主役の二人、竹内結子と阿部寛が絡むお馴染みのコミカルな部分はグッとカットされ、主役がかすんでしまいました。
阿部が演じる厚労省の白鳥なんて、登場すらないので変だな~と思いましたよ。と思ったら、病院の救急モニターにひょっこり映っていたりします。よく怪我する変な奴ですね。
竹内が演じる田口医師は今回も、自身なさそ~。こんな竹内はあり得ないくらい。小地蔵が田口のカウセリングにのって慰めてあげたいくらいですぅ。でも病院の倫理委員会の委員長としては、何となくきっちり仕事をしてしまって、本人の意志に反して委員長「続投」の模様です。
彼女の持ち味は、マメなこと。今回も速水の裏金の裏帳簿から、速水が私服を肥やしたところをしっかり見抜きます。この「私服」が笑っちゃうくらい、可笑しいし、それに対する処分もユニークでした。
最後に、リーダーのあるべき姿についても、教訓を残してくれる作品です。
速水は、部下の佐藤に、リーダーはわがままでないと務まらないと本心を明かします。部下の速水評に反して、実は速水は小心者だったのです。最後まで謎だった彼の称号のうち『ルージュ』の本当の意味が分かったとき、なるほどと思いました。
そんな小心者が、患者の命がかかっている一刻一秒を争う判断を下さなくていけない立場に足さされたとき、迷いは許されなかったのです。ジェネラルになるべくしてならざるを得なくなったわけです。
速水の生き様は、きっと組織やチームのリーダーとなる人に参考になることでしょう。
●前作との関連について
前作を見ていない人は、前作の「バチスタ事件」がしばしば出てくるので、何だろうと疑問を持つかもしれません。それと田口・白鳥のキャラを理解するうえでは前作を見たほうが馴染みやすいとは思います。
ただストーリー的には、本作で完結しているので、前作のストーリーをすっかり忘れてしまった小地蔵でも、充分楽しめました。
ごめんなさい
映画のコンビもいい
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