「俺様ヒーローから強く優しいヒーローへ」マイティ・ソー 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
俺様ヒーローから強く優しいヒーローへ
この夏の『アベンジャーズ』のお陰で、日本でもアメコミ映画が多少浸透したかと思う。
『アベンジャーズ』が無ければ、『アイアンマン』は別として、『マイティ・ソー』も『キャプテン・アメリカ』もほとんどスルーされていただろう。
でも、『アベンジャーズ』抜きでも、『マイティ・ソー』は一本の映画として充分楽しめる。
神々の国アスガルド。
王オーディンの息子ソーは、傲慢な性格で国を危険に晒す。
父王の怒りを買い、国を追放され…。
地球に追放されたソーは、天文学者ジェーンと出会う。
ジェーンとの出会いと恋、地球での経験がソーの性格を変える。
俺様ヒーローの精神成長物語としては非常に分かり易くてイイ。
その反面、余りにもあっさりし過ぎてるけど…。
父子ドラマと兄弟の確執の要素を織り込んだコスチューム劇はさながら、神々のシェイクスピア。
監督をケネス・ブラナーが担当しているのも単なる偶然ではないだろう。
このケネス・ブラナーの演出が、従来のアメコミ映画に無い品を与えた気がした。
勿論、アクション・シーンはVFXを駆使しスケール感たっぷりに。
無敵のハンマー“ムジョルニア”を手に戦うソー、デストロイヤーのその名の通りの破壊っぷり、ラストのソーvsロキ…超人パワーならぬ神パワーが炸裂する。
ソーにクリス・ヘムズワースを抜擢。
周りをナタリー・ポートマンやアンソニー・ホプキンスと言った人気俳優やベテラン俳優で固め、バランスを取る。
『スーパーマン』から伝わるアメコミ映画の鉄則。
(浅野忠信の役柄が小さいのは残念…)
ロキの悪役っぷりが好きだ。
陰があり、虎視眈々と機会を狙い、そして哀しさも感じさせる。
『アベンジャーズ』でも一人で悪役良く頑張った!
その『アベンジャーズ』へのリンクも楽しい。
コールソンやバートン(=ホークアイ)の登場、「知り合いのガンマ線科学者の所にシールドが来た」や「スタークか?」の台詞にニヤニヤ。
地球での経験を通して、強く優しいヒーローへ成長したソー。
ロキとの複雑な兄弟関係はどうなるのか?
再び彼が活躍する続編も楽しみだ。