劇場公開日 2011年7月2日

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「シフとジェーンによる恋敵同士が散らす火花が見てみたかった」マイティ・ソー マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0シフとジェーンによる恋敵同士が散らす火花が見てみたかった

2011年7月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

話自体はよくある話である。予告篇から垣間見えるだけでもおおよその見当がつく。つまりは、ちょっとばかり腕力があるからといって自惚れる跡継ぎを親父が勘当した。もちろん、本気じゃないよ。息子の成長を望めばこその試練を与えたわけだ。だけど、この期を利用して王の座を奪おうとするもうひとりの息子がいた。遠くに跳ばされたからといっても帰ってくるかもしれないから、今のうちに兄貴に刺客を送っちゃえ。…とまぁ、時空を越えた兄弟喧嘩が勃発する。こんなところだろう。

よくある話ながら面白いのは、神の世界に於ける魔法と、地球に於ける科学は、実は根源が同じものだという解釈。日本でもまだ神だの怨霊だのが日常に存在した平安時代、当時としては進んだ考え方で神や怨霊と対峙した陰陽師の存在と似たところがある。「マイティ・ソー」では、神の国と科学の国の橋渡しにナタリー・ポートマン演じる科学者ジェーンを配置した。

そのほかの配役もいい。悪ガキそうな風貌のクリス・ヘムズワース、貫禄あるアンソニー・ホプキンス、狡賢そうなロキ役トム・ヒデルストン、三銃士のひとり浅野忠信の精悍なマスクもいい。対する女優陣も、ナタリー・ポートマンの助手役カット・デニングス、女戦士シフ役ジェイミー・アレクサンダーと綺麗どころを揃えている。
できれば、ひそかにソーを慕うシフとジェーンによる恋敵同士が散らす火花が見てみたかった。

物足りないのは演出。グッとくるものがない。前段の筋書き以外、何も無い。なんとなく話が進んで、なりなりに面白かったけど、それで? …何も残らない。
それとカメラが妙に斜め撮りが多く、3Dと相まって、どうも体が傾いでいくのが自分でも分かる。(笑) それ以前に3Dの必要性があったかどうかも疑問だ。
VFXもよくない。冒頭、神の国〈アスカルド〉の民衆が集う俯瞰シーンは、群衆が人に見えない。米粒でもコピペした?というような映像だ。半ば、映像を売りにした作品にしては全体的にお粗末なデキだ。
音楽はゲーム「ザ・セトラーズ」を連想させる。

それぞれのキャラが浮き立っているので★ひとつ。

マスター@だんだん