劇場公開日 2010年6月11日

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「何でつまらなくなるかな…」アイアンマン2 alalaさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0何でつまらなくなるかな…

2020年1月22日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

単純

MCU単独主演映画について、つい先日『マイティ・ソー ダークワールド』のレビューにて「アベンジャーズシリーズは面白いのに単独主演になると途端につまらなくなるのは何故か」をめちゃくちゃ熱入れて語ったんですが、性懲りもなくまた見てしまった…だってアベンジャーズシリーズに今後繋がっていくと言われれば、つまんなそうでも一応…と思っちゃうじゃん。

で、結果惨敗です。つまんない。監督別の人だっけ?製作はアベンジャーズの監督と同じ人みたいだけど。
何かもう、メカ出しときゃ満足だろ?みたいな雑さを感じます。先述の『ダークワールド』レビューでも「ソーの印象と話がショボいからCGで見た目だけでも豪華にしたんすか」みたいな罵詈雑言を書いたんですが(ごめん監督…)、今回もそれは変わらず。
メカや爆発シーンのCGはしっかりしてます。でもCG技術の宣伝動画じゃないんだから。見た目派手にするなら、視覚的にだけでも印象に残る映画作りをしてほしいです。今見終わってすぐにレビュー書いてますが、もう殆ど内容思い出せませんし、記憶に残ったシーンも皆無。

一応書いておきますが、個人的にアベンジャーズシリーズの中ではアイアンマンが一番好きじゃないので(理由は後述)、最初から期待値は低かったです。それでもこれ。「思ってたより良かった、まぁ天下のアベンジャーズですしね!」くらいは言いたかったんですが、全然でした。「いつ盛り上がるんだろう…」と思ってたら2時間経ってたorz
戦闘シーンが少なく、どちらかというとトニー・スタークがどういう人間か?というキャラクター紹介が主。これ、確かクソほど酷評した『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』の時も書いたな。あれもスティーブ・ロジャースという人間がどういう経緯でキャプテン・アメリカになったかって話で、それ以上でも以下でもない。何も楽しめるお話はなく、ただキャラクター紹介を2時間に延ばして物語調に整えただけという印象でした。ちなみに自分はキャプテンが一番好きなので、ファーストアベンジャーは結構期待してたし酷評するの結構ツラかったです(どうでもいい)。
単独主演映画同士でも、随所で別作品の小物が出てきたり、ちょこっとオマケでキャラが出てきたり等、ファンからしたらそういうサービスが嬉しいのかもしれませんが、自分は別にそういう方向のファンではないので、そんなファンサービスいらんから映画としてもっとちゃんとしてくれ!と余計に思ってしまうわけです…

アイアンマンはキャラクターとしても多分人気がある方なんだと思いますが、人気が出たのはアベンジャーズシリーズになってからで、単独主演当初は日本じゃ全然人気なかったみたいですね。アベンジャーズシリーズから入った自分でも特にアイアンマンを好きにならなかった自分なりに考えてみると、精神的に弱い、でもリーダー(っぽい立ち位置)、おちゃらけてる、でも天才、でも女遊び激しい、金に物言わせられる経済力、実は子供の頃愛されなくてブロークンハート、最初クズ後に反省してマシになる…この辺りが好き嫌いの分かれるところなのかなと。
単独主演の『アイアンマン』では割と幼稚で精神的に脆く、性格クズで、人を小馬鹿にするような態度で、結構「ウザキャラ」として描かれているので、そこから成長していくとはいえ、あまり日本で人気出なかったというのも納得かなと個人的には思いました。
対する『アベンジャーズ』ではまぁまぁ大人になり、仲間もできて、自分の立ち位置を把握し、1作目中盤で既にきちんと「周囲に合わせる」ことに成功しています。
『アイアンマン』では独りよがりで自分勝手で、天才なのに自分の興味のないことは見向きもしない、人の気持ちも考えない。後でそのツケが回ってきて、それを処理した結果自動的に「世界を救った」ことになり、周囲にありがたがられてヒーローとして持ち上げられて、傲岸不遜な態度のまま終わりますが、『アベンジャーズ』では始まりがそもそも誰かのせいではなく、突如降って湧いた災厄にどう対処するか、敵と戦うか、勝手に集められた他のヒーロー達と手を組むか、(フューリーのお膳立てはあったものの)概ね自分で決めて命懸けの戦いをしています。もちろんキャラ設定は同じですが、根本的にトニーの性格が意図的に変えてあり、よりヒーローらしいヒーローに描かれている気がします。

金属感溢れるあの良い音するスーツが好きという人が結構多いですが、『アイアンマン』はまさしく「スーツの凄さ」を見せているようなもので、「トニーは天才だけど、あとは金の力で解決してるようなもんだよね」と思ってしまうくらい、トニー自身のプラス面は描かれてない。『アベンジャーズ』でキャプテンに「スーツを脱いだら何が残る?」と言われていましたが、まさにこれ。『アイアンマン』でのトニーは、ただ頭が良くて金持ってるから成功したけど、このトニーのままアベンジャーズに出したら、恐らく完全に脇役です。だって「スーツ作るのだけトニーにやってもらって、着て空飛んだり戦ったりするのは別の人でも良いじゃん」と思うくらいには、『アイアンマン』でのトニーはヒーローとしてのキャラが立ってない!
言い方は悪いですが、仮に『アイアンマン』のトニーが普通の家の出で、ジャービスもいない、金もない状態ならまともなスーツも作れず、スーツが作れなければただ精神的に弱く、人と力を合わせることもできず、生身ではほぼ戦うこともできず、足手まとい以外の何物でもない。でも『アベンジャーズ』のトニーなら、他人の能力もきちんと考えた上でパワーバランスをはかることができ、個々の能力を現場で振り分けたうえで命懸けの自分の役割を進んで行う人並み以上の正義感もあり、スーツなしの生身でも裏方で充分な力を発揮するだろうと想像できます。そのくらい『アベンジャーズ』のトニーはスーツを脱いでも魅力があり、内面が見えました。「頭の良さ」を『アイアンマン』とは別のベクトルで使っているように感じます。
『アイアンマン』では、どんな能力があり、どれだけ金持ちで、どんなに(主に機械に対して)頭が良いかはわかりますが、思わず応援するほど内面を深く掘り下げていません。しかも上にも書いた通り、事件のキッカケは割と自業自得な部分も大きく、その割に世界平和がどーのこーの言われても、「いや、自分のケツ拭くだけなのに世界のためみたいに言うなや」と呆れてしまって、どーも入り込めないんですよね…
そして(1の時もですが)、内容が全然頭に残らない。辛うじて1でトニーが攫われて、そこで頑張ってアイアンマン初号機を作り出したのだけは覚えてるんですが、後は全く。本日2を観賞するにあたり、1のあらすじを読み直しましたが、本当に見たか不安になるほど内容覚えてませんでした。一応、見たのは去年の春か夏頃だったはず。でも1って監禁されてた所から逃げてきたのは覚えてるけど、敵なんて出てきたっけ?とアイアンマン好きの家族と共に首傾げました。これも「アイアンマン格好良いでしょ!」とメタリックなスーツでブンブン飛び回ってるだけのスーツ紹介を見せられただけという気分になってしまって、いまいち主人公のトニーに共感も興味も持てなかったのが原因だと思います。
そういう色んな理由でアイアンマンが一番好きじゃないキャラ(というか作品)になってしまった次第ですが、エンドゲームが終わった今、やはりアイアンマンの人気がかなり上がったようですね。アベンジャーズシリーズでのトニーの立ち位置が若干「ハートの弱いお父ちゃん」っぽくなってて個人的にはちょっと笑えるんですが、『アイアンマン』でももうちょっと幼稚さがなく、スーツよりトニー自身に重きを置いたストーリーにしていたら、最初から人気が出ていたんではないかなぁと思います。

あらすじ書くほど大した内容もないのでざっくり書きますと、ローディ(ウォーマシン)がちょっとだけ活躍します。ていうかアイアンマンも活躍という活躍はちょっとだけなので、あれでも結構頑張った方なのかな。
戦闘シーンがかなりあっさりしているので、アクションを求めて見ると肩透かしです。あくまでトニー・スタークの初期設定を確認したい人向け。

…こうやって低評価のレビューを積み上げてしまっている身としては、スパイダーマンシリーズってかなり凄かったんだなぁと思わずにいられません。
世界中で大絶賛され、日本で唯一の大成功アメコミ単独作と言っても良いサム・ライミ版は勿論ですが、ソニーのも1はなかなか良かった。2はソニーらしく、映像に凝り過ぎた感じがあったけど、アベンジャーズシリーズ単独主演作品と比べたらとても良い出来だったんだなと今更感じてます。
今までアベンジャーズシリーズに夢見過ぎだったのかもしれない…もう一回ウインターソルジャー見て目を潤そうかな…

alala