「ヒロインが着る数々の衣装が素晴らしく、衣装デザイナーに拍手」ココ・アヴァン・シャネル Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
ヒロインが着る数々の衣装が素晴らしく、衣装デザイナーに拍手
アンヌ・フォンテーヌ女流監督(ボヴァリー夫人とパン屋等)による2009年製作のフランス映画。
ココ・シャネルの成功するまでを、ほぼ事実に基づき、描いている様。シャネル前のフランス女性の着る高級衣装の苦しさ・実用性の無さが強調され、シャネルによる衣装の革新性が示され、成る程と勉強になる。
彼女の着る数々の衣装も、印象に残った。特に、黒い眼を生かすという舞踏会用のドレスは凄く美しかった。また、ポスターにも掲載の黒と白基調のスーツも流石に素敵で、この映画の衣装デザイナーのカトリーヌ・レテリエ氏に大いなる拍手。
成功願望が強いココ・シャネルが女の武器を平然と使うのは抵抗があったが、事実そのものだから致し方なしか。森英恵だって、実家が繊維会社の元陸軍少佐と結婚したのが活躍の発端。お相手のブノワ・ポールブールド演ずる仏貴族が寛大で良いヒトすぎて、同情までしてしまう。その彼に許可得てから、シャネルを外に連れ出す英貴族アレッサンドロ・ニボラ。富豪娘と婚約が決まっていて、ピアノを弾く姿が貴族らしいが、彼は言わばシャネルの同類ということか。彼が最初にシャネルの才能を認めて出金したスポンサーでもあった。
主演のオドレイ・トトゥは、ココ・シャネルと似た風貌である。また、喫煙しながらのデザインを始め、一生懸命にスタイル等を似せてもいる。ただ、この時代のシャネルを演じるには、若さ・しなやかさ・瑞々しい魅力が自分的には乏しいと思ってしまった。残念ながらその点で、十分にこの映画に魅入られなかった。ダ・ヴィンチ・コードのヒロイン役の彼女は、ピッタリはまり魅力的であっただけに残念であった。
製作はカロリーヌ・ベンジョー、キャロル・スコッタ、フィリップ・カルカソンヌ、 シモン・アルナル。原作はエドモンド・シャルル・ルーの同名小説、脚本はアンヌ・フォンテーヌ、カミーユ・フォンテーヌ。衣装デザイナーはカトリーヌ・レテリエ。撮影はクリストフ・ボーカルヌ、美術はオリビエ・ラド、編集はリュック・バルニエ、音楽はアレクサンドル・デスプラ。
出演はオドレイ・トトゥ(エタニティ永遠の花たちへ等)、ブノワ・ポールブールド(仏貴族、チャップリンからの贈りもの等)、エマニュエル・ドゥボス(劇女優)、マリー・ジラン(姉)、アレッサンドロ・ニボラ(英国貴族、アイズ等)。