「おそるべき無神経な人々。」おと・な・り つばめさんの映画レビュー(感想・評価)
おそるべき無神経な人々。
麻生久美子
岡田准一
プラトニック
これだけで、この映画の需要と価値は計り知れないと思います。
それに加えてタイトルが『おと・な・り』
重なり合う生活音と惹かれ合う男女。
穏やかな時間と精神的な繋がり。
パッケージとしては本当に最高で、私ももちろんそういう期待をこめて見ました。
たぶん、多くの人のレビューを見る限り、それを裏切ることはないし、私もそう感じます。
ただ、一個人の意見で言えば、
聡(岡田准一)と七緒(麻生久美子)の繊細な感情を浮き立たせるためなのか、
周りの脇役が「まぁ無神経!」。
ここだけがどうも気になったので詳しく書きます。
前半はほとんどその無神経な人々が二人を引っ掻き回すだけの展開なので尋常じゃない精神疲労を起こしました。
唯一の救いは花屋の店長のみです。
平川(市川実日子)も、おぬしは何の権限があって聡の人生の岐路に関わり名言を打ち込んでるんだ、市川実日子じゃなきゃ許さなかったぞ本当っていう感じ。
茜(谷村美月)も、泣きじゃくる赤子同様、その傍若無人さは母親じゃなきゃ許せないレベル。どこに絆されたんだ聡。
そんでもって、茜が待ち焦がれる恋人SHINGO。茜が付き合い、聡が親友と認める相手だから、よほど我慢強く優しいが繊細で不安定な人に違いない、そうに違いない………うわっ!無神経そう。
わりと繊細そうな面と雰囲気を匂わせていた氷室(岡田義徳)も、手のひら返したようにやな奴になり、情緒不安定にもほどがある。りっぱな演者になれるよ氷室。
もう一度いいます、救いは花屋の店長です。
驚くべき周りの無神経&情緒不安定な人々のおかげで、私は主人公二人に同調できませんでした。
でも、二人の寄り添いあい方や、後半の出会うまでの駆け足の展開は、凄く満足!
お隣の生活音に惹かれ合うという素敵な設定や、二人がお互いの内側をちゃんと見ていたということがわかるので、本当に二人だけを追って二人だけの精神世界に重きをおいたら優しく心地の良い作品です!