クロッシング(2008)のレビュー・感想・評価
全12件を表示
北朝鮮の現実を描いた作品。 中国経由で第3国まで行き、平穏な生活を...
北朝鮮の現実を描いた作品。
中国経由で第3国まで行き、平穏な生活をおくれるのはごくごく少数で、それは戦争に行き、無事に帰国するくらいの確率なんだろうなーと思いながら見ていた。
情報が統制されていて、しかもひっそりと暮らしていかないといけない状況下では、選択を迫られた時、迷っている暇はない。しかも、そのどちらかは悲惨な結末が待っている。
モンゴルで待つ父親の気持ちは張り裂けそうなのが痛いほど伝わってくる。
結末は待機するホテルで再開だと思ったのに・・・。
その後の父親が知りたい。
日本人特に若者にみてほしい
かなり衝撃的な内容でした
脱北を題材にした本作ですが、助監督は脱北者とか(たしかNHKニュースでみた)
内容は2時間ずっとヘビーな内容。み終わったあとに今の自分がどれだけ恵まれているか、今この間も北ではどれほどの人が苦しい思いをしているのかかんがえると胸が苦しくなります。
若い人にみてほしい作品
情け容赦無し
父親と息子。双方に取っての“岸壁の母”状態。
「これでもか〜」とばかりに、北の悲惨な生活状況を抉る様に描写する。
まさに情け容赦無しだ!
話自体に目新しさは無いかな?寧ろ予想通りに進んで行く。
基本的には父親と息子の親子愛が根底に有り。その間に、ジュニとミソンの恋とまでは言わないが、淡い物語が入る。
多分に南側の主張が強調されているのは、両国の歴史的な背景を考えたら当然の事なのかな?と言える。
それにしても、よく国として未だに機能しているものだ…と。「そりゃあ!あんた。独裁政権なんだから、当然だよ!」…と、言われたら返す言葉も御座いませんです。はい!
作品自体は、過去の脱北者達の証言を基にして、脚本を構成し製作されているとの事。そんな脱北映画と言えども、そこはそれ。一応は娯楽性を織り込んだ韓流映画の1本でも在りますから!
“雨”だったり“サッカーボール”(石蹴り)。又“指輪や”“靴”と言った、日常的な物を使って泣かせに入るのを良しとするか。「いや、ちょっと…」と、拒否反応をするかで、評価は両極端に別れそうな気がします。
とても悲しい物語なんですが。最後に“或る意味”でのハッピーエンドを用意して在るのは、とても良かったんではないでしょうか。
(2010年5月8日ユーロスペース/シアター1)
普通に生きていくために逃亡する者たち
この作品に、「国家体制に対する非難」や「政治的なメッセージ」を期待している方は、観たあとには肩透かしをくらったような気分になるかもしれない。北朝鮮と脱北者を描いてはいるが、登場する人々には国へ批判も自由を得ようとする様子はほとんどない。ただ、生きていくことに一途な者たちだ。だからこそ、強烈な印象を受けるのである。
主人公の妻が重い病気にかかる。とは言え、日本や隣国の韓国ならば薬で治癒できるものと聞いた夫は、脱北して薬を求めようとする。それを追って一人息子が脱北を試みるのだが、その子どもの脱北する姿の悲惨さは、あまりに切ない。
これまでも、「イン・ディス・ワールド」や「霧の中の風景」など、国から逃亡する子どもたちの姿を描いた作品は何本かあったが、この作品が他と大きく違うのは、自分の力でしか生きられない、逃げることもできない、そして故郷に思いを残していることだ。つまり、夢があって国を捨てて脱北を試みているわけではなく、自分の力で生きなければならない、という切羽詰ったものを抱えている、どうしようもない悲劇を背負っている。そんな一途な思いの子どもに対して、収容所で痛めつけるシーンだけは、政治的なものを感じ、切なさが胸に染みた(実際に子どもの収容所が北朝鮮にあるのかどうかは、わからない)。
この作品の中で、一人息子が雨が好き、というシーンが何回が出てくる。雨は、我々都会に暮らす者には嫌なものだが、本来は作物にとって恵みの雨と言われる。一人息子にとって、雨は人を優しく包み込む天国からのプレゼント、恵みと幸せをもたらしてくれるものだった。雨だけが心の幸せと思う人たちが、日本からそう遠くない国にたくさん暮らしている、ということに我々はどのように向かい会うべきなのか、と考えさせるだけでも、この作品の公開はとても意味深いものがあると思う。
あまりにも辛くて重い
100人近い脱北者への取材を基に北朝鮮の現実に根差した骨太なストーリー。
実際の脱北経路で撮影したり、スタッフにも30人余りの脱北経験者が参加しているだけあり、北朝鮮の町や脱北シーンなど、凄くリアルに描かれている。
北朝鮮の現状 今もこんなになっているのか?と目を疑いたくなる昭和初期 戦後の様な貧困さ。
最後まで辛く、悲しく、絶望的な状況。生きる為に国境を越える。
家族の絆や家族を思う気持ち。友達を思う気持ち。食べ物、住居、仕事、医療機関、今も拉致されてる人の事・・・・様々な事を考えさせられました。
時折降る雨。夕焼け。自転車のシーンも素敵で・・・切ないて苦しくて、もどかしくて、沢山泣いてしまいました!
友達にもお勧めしたい。
“現状を知る切っ掛け”として、非常に良い映画
上映が始まるまでは、北朝鮮で行われているという圧政の恐ろしさを克明に訴えようとする映画かもと身構えていた。
だが日本の昭和を連想させるような、平和な家族風景を描くオープニングに虚を突かれる。
鉱夫として働く父とその息子が楽しげにサッカーボールを蹴り合う姿。
狭苦しい家で、家族と共に食事を囲む姿。
ペットの犬を可愛がる姿。
そこにあるのは万国共通の温かな家族の姿だ。
だがその平和も極めて脆い基盤の上に成り立っている事が、物語が進むに連れて分かってくる。
“南朝鮮”のテレビを見てはいけない。聖書を読んでもいけない。酒や薬やガム等の“贅沢品”を中国から持ち込んだ為に破滅させられる家族もいる。
主人公一家も、母親が結核にかかった事で生活が一変。薬を買う金も手段も無い。栄養のある物を食べさせる手段も殆ど無い。
薬を入手するべく、父親は単身中国に渡る事を決意するのだが……
北朝鮮の国境を越えただけでは“脱北”とは言えない。むしろその後の方がずっと危険だ。そして脱北に成功して薬を入手できても、今度は様々なしがらみに囚われて家族の元へ帰る事が出来ない。
実際の報道でも家族を残して脱北に成功した方が登場する事があるが、彼らが一体どんな思いを抱えて生きているか、垣間見る事が出来た気がする。
脱北に失敗して送還された者には、更に惨い仕打ちが待っている。女子供だろうが病人だろうが収容所に送られ、劣悪な衛生環境の中で、情け容赦無い強制労働を課せられるというのだ。
収容所の看守達はまるで怪物で、同じ人間とはとても思えない。
この辺りの描写は涙が出る程に悲惨だ。
現状をロクに知らない僕には、この映画の内容をどこまで鵜呑みにして良いのかの判断は出来ない。
だが、脱北の困難さやそのシステムを描いた部分については、僕には少しも誇張しているようには感じられなかった。
ドラマチックな演出はあるが、家族や親しい人々がばらばらに、ぼろぼろにされる悲しみを端的に示したいが為だろう。『あざとい』とは思わなかったし、離れ離れになった父子を結び付ける土砂降りの雨の美しさに心を動かされない人はいない筈だ。
この映画は授業教材として有用かも知れない。誤解しないでいただきたいが、教科書的な映画と言いたいのではない。
北朝鮮の現状について興味を持つ切っ掛けを作るという意味で、非常に良い映画だと思うのだ。
……知りたい方は、是非。
<2010/8/1鑑賞>
やるせなく、せつない
韓国で公開中にみました。
同じアジアで起きていると思うと本当に切なくなります。
北朝鮮訛りなので、韓国語を理解できる人でもちょっと苦労すると思いますが、韓国に興味があったり、接する機会がある人にはお勧めです。
全12件を表示