「作者からのメッセージが伝わってこない」路上のソリスト マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
作者からのメッセージが伝わってこない
米ロサンゼルスを舞台に巧みな構図で魅せる、ただ一点を除いて・・・。
ナサニエルがオーケストラの旋律に聞き入るシーンだが、まるでメディア・プレーヤーの視覚エフェクトさながらの描写は芸がない。しかも長い。
ヘタに泣かせようとせず、淡々とふたりの交流を描いていく点には好感が持てる。ロバート・ダウニー・Jr. とジェイミー・フォックスの演技力が光る。
それでも物足りなさを感じるのは、事実に捕われすぎて映画作者本人の解釈が伝わってこないからだ。弦の震えを感じない。
神の祝福を得た天才は、俗界の雑音に畏れおののき、信じられるものは美しい旋律とそれを生んだ偉大な音楽家たちだけ。そんなありふれた解釈で見られる作品でよかったのか?
事実を踏まえた上で、ひとつの作品として映画ならではの視点でもっと掘り下げてほしかった。
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