「パワーアップされたカーアクションが凄いです。敵ボス役のロバート・ネッパーの登場で予測不可能な悪意を見せつけていました。」トランスポーター3 アンリミテッド 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
パワーアップされたカーアクションが凄いです。敵ボス役のロバート・ネッパーの登場で予測不可能な悪意を見せつけていました。
『トランスポーター』シリーズは、『TAXi』シリーズ等で知られるリュック・ベッソンが製作・脚本を手掛けたカーアクション映画です。
リュック・ベッソンは、最近自らのプロダクション、ヨーロッパ・コープを通じて、日本でも矢継ぎ早にアクション作品を公開しています。
主人公の元特殊部隊員フランク・マーティンはプロのトランスポーター(運び屋)。黒いBMW735i(E38)を駆り、どんな依頼品もそのドライビングテクニックで頼まれた時間に正確な目的地へと運ぶ。フランクは依頼品を運ぶにあたり、以下のようなルールを掲げていたです。
1. 契約厳守
2. 名前は聞かない
3. 依頼品を開けない
しかし、シリーズではどれもこのルールを破ったことがきっかけで、フランクは様々な事態に巻き込まれてしまうのです。本作に至っては、3項目とも全部破った上、運ぶべき『商品』からの誘惑にも答えてしまい、いたしてしまうのであります。
ちなみに、フランクは特殊部隊歴5年を持つだけあって各種格闘戦に長けます。本作でも、多数の敵を鮮やかな格闘技でスピーディーに倒しておりました。但しよく見ると相手には先制第一撃のみ。絶対に致命傷は負わせないのです。これもやはり自らに課したルールなのでしょう。
リュック・ベッソンが絡む作品は、カーアクションが売り。今回もベンツなど高級外車が惜しみなくクラッシュします。見せ場も多数!なかでも凄いと思ったのは、2台のコンテナトラックの隙間を、フランクが愛車を斜めに傾けて2輪だけですり抜けるシーンと、陸橋からダイブして走る列車の屋根に、車ごと飛び乗るシーンです。見ていて鳥羽肌が立ちましたね。
冒頭から、フランクの自宅に突如車が飛び込んでくるなど、全編ほぼノンストップでアクションシーンが続いていきます。やはり今回の車から20メートル離れると自爆するという設定は、本編のアクションにも効いていたと思います。フランクはそのハンデを、副題の「アンリミテッド」!と感嘆するくらい、人間離れした方法で乗り越えていくのです。 一時肝心の車を奪われたときなんぞ、自転車を奪って追いつく執念深さでした。
アクションの余り早い展開に、置き去りにされそうなところもありました。本作は、アクション志向が強いためか、背景の環境問題やヒロインのヴァレンティーナとの人間ドラマはも、おまけ程度です。
但しヴァレンティーナは、風貌からしてロシアのあばずれ女のようだし、さんざんフランクを困らす小悪魔みたいな存在でした。それがラストに近づくにつれて可愛らしくなっていくのは、演じているナターリア・ルダコワが、ヴァレンティーナの女心を良く掴んでいるからでしょう。伊達に直々にスカウトされたわけではなさそうな逸材でした。
それと主役を喰っているのが、悪役のボスとして助演しているロバート・ネッパーです。彼が悪役で登場すると小賢しさと同時に、予測不可能な悪意を感じさせます。ヒース・レジャー亡き後、もしあのジョーカー役をカバーしうる俳優となれるのは、ネッパーじゃあないかと思います。
セーム・シュルトVSジェイスン・ステイサムの対決シーンも見応えありました。シュルトの前では、さしものステイサムも小人のような体躯に見えてしまいます。そのハンデを克服して、シュルトを倒してしまうところも必見ですよ。
最後に一言、クールな運び屋のはずが、ラストではある女とラブラブになっちゃうんですね。あれほど拒絶していたのにですぞぉぉぉ!鼻の下を伸ばしちゃって、警察署長と3人でつり三昧で、そんな呑気でいいんかいフランク!