「ある女性が嫁ぐ日の物語」シリアの花嫁 UNEmiさんの映画レビュー(感想・評価)
ある女性が嫁ぐ日の物語
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冒頭、結婚式の準備に向かう花嫁とその姉、そして姪っ子たち。
晴れの日のはずなのに、花嫁の表情は浮かない。
その映像から伝わってくる空気にも、晴れ渡った空と、姪っ子たちの楽しそうな雰囲気の中に、色濃い影がある。
そして、花嫁がウェディングドレスに着替えたとき、その理由がわかる。
今日が、姉妹の今生の別れであると。
ドゥルーズという地域は、元々はシリアだったが、イスラエルに占領された。
しかし、その住民たちはイスラエル国籍になることを拒み、「無国籍」になった。
シリアとイスラエルに国交はない。
ドゥルーズの人間が「境界」を越えて、一度シリア領へ足を踏み入れれば、「シリア国籍」が確定し、二度とイスラエル占領下のドゥルーズには戻れない。
そのドゥルーズから、シリアに嫁ぐ花嫁の胸中は……。
パスポートを手に、家族と二度と会えないことを受け入れて、国境を越えていく花嫁の表情が印象的。
世界には、こんな理不尽な思いをしている人たちがいるんだね……。
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