劇場公開日 2009年11月21日

「「絵」は世界一。ジブリを遥かに凌ぐ。」マイマイ新子と千年の魔法 tさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0「絵」は世界一。ジブリを遥かに凌ぐ。

tさん
2017年11月4日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

興奮

知的

「この世界の片隅に」を観てからこの映画を観た

多分、「この世界の片隅に」を好きになった人は、「マイマイ新子と千年の魔法」も好きになると思います。世界観がとても似てる。

まず何と言っても、この映画は映像(正確には映像というか絵なんですが)が凄い。
地平線の彼方まで一面敷き詰められた麦畑が風になびき、雲ひとつない青空に太陽、その中を子供が走ってる。合わせて曲が流れる。
それだけでこんなに凄い絵になるとは・・・。子供がただ遊んでるだけ。ただそれだけ。
この映画は最大の見せ場がそれである。面倒臭い説明は一切なし。もう引き込まれてる。日本のアニメは本当に凄い。

この映画、さらに一線を画するというか次元が違うというか、「絵」という点ではジブリ、押井守等を遥かに凌いでる。
ジブリ映画は、大人が観た子供の世界「子供の世界ってこんな感じでしょどうせ?(笑)」みたいな感じ。だから観てる側も、潜在的に内心こんなのあるわけねぇ(笑)って思っている。だからジブリ映画の絵は、どこか子供っぽくダサい。注)別に批判してるわけじゃなくて、この「マイマイ新子と千年の魔法」と比べたら子供っぽくダサいというだけです。私はジブリ大好きです。はい(笑)。
「マイマイ新子と千年の魔法」は、子供が観た子供の世界。とてもリアル。だからこそスタイリッシュ。「絵」はド田舎なのに、超カッコ良い(笑)。否、カッコ良いという表現は適切ではないか。生きてる。生々しい。本当にそこにあるみたい。畏敬の念すら抱く。言い過ぎか・・・。子供の映画なのに、子供っぽさが全然ない。こんなにスタイリッシュな「アニメ」を、私は今まで観たことがない。
押井守の「攻殻機動隊」みたいなハードボイルドアニメは、確かに「リアル」っぽく見えるけど、実際、あれは「リアル」っぽいだけで、「これが俺の考えたカッコイイ未来だぜ。カッコイイだろ。どう?」みたいな感じで、キザ、なところがダサく見える(笑)。注)攻殻機動隊みたいなハードボイルドアニメも私は好きです。

物語はオーソドックス。
普通に暮らしていた主人公が、汚く暗い大人の世界へ旅立ち戦い、ちょっと成長して帰ってくるという、良い話。
主人公は妄想好きの女の子。おじいさんから1000年前の昔話を聞かされ、いつも想像している。1000年前の人たちはどんなだったんだろう?
この映画も、昔の人を「想像する」ということから、まずは始まっている。想像力の尊さを教えられた。
(近年のARやVRは確かに凄いですが、人間の想像力が劣ってしまわないか不安だ)

t