「【旧ドイツ軍の「国家の誇り」を吹き飛ばせ! タラちゃんの、ナチス・ドイツの蛮行に対しての怒りをシニカルに炸裂させた作品。クリストフ・ヴァルツの魅力全開作品でもある。】」イングロリアス・バスターズ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【旧ドイツ軍の「国家の誇り」を吹き飛ばせ! タラちゃんの、ナチス・ドイツの蛮行に対しての怒りをシニカルに炸裂させた作品。クリストフ・ヴァルツの魅力全開作品でもある。】
■内容に関しては、40代以上の映画好きの方にとってはとって、周知の事と思われるので、感想のみ記す。
<Caution! 以下、内容に思いっ切り触れています。>
◆章立てでストーリーは進むが、その構成の上手さに舌を巻く。
「第1章 その昔 ナチ占領下のフランスで」
”ユダヤ・ハンター”ハンス・ランダ大佐(クリストフ・ヴァルツ)が、酪農家の家に現れ、ネチネチと、主を脅していくシーン。たった一人生き残った娘、ショシャナが草原を全力疾走で逃げるシーン。(ショシャナは、大人になってからは、メラニー・ロランが演じている。)
- 彼女は、この後、重要な役割を果たす。そして、クリストフ・ヴァルツの魅力炸裂シーンでもある。-
「第2章 名誉なき野郎ども イングロリアス・バスターズ」
アルド・レイン中尉(ブラッド・ピッド)が率いるバスターズたちの、捕獲したドイツ兵の頭の皮をはぎ取るシーン。
そして、額に刻まれる”ハーケンクロイツ”
- ここも、ラストに効いてくる・・。-
「第3章 パリにおけるドイツの宵」
そして、生き残ったショシャナは女映画館主になっていた。
彼女に恋したドイツ軍狙撃兵フレデリック(ダニエル・ブリュール)は、自らの活躍を描いた映画「国家の誇り」のモデルであり、ゲッベルスに進言し、映画のプレミア上映を、ショシャナの劇場で行うことを依頼する。
それを聞いた、ショシャナはある壮大な計画を思いつく。
- ショシャナと、ハンス・ランダがレストランで会うシーンの、緊迫感が半端ない。
ランダが頼んだ、”ミルク”・・。クリストフ・ヴァルツの笑顔が怖い・・。-
「第4章 映画館作戦」
冒頭のパブでの行き詰るドイツ兵幹部と、ドイツ兵に化けたバスターズたちの遣り取り、そして銃撃戦。
そして、只一人生き残った女性スパイ、ハマーシュマルク(ダイアン・クルーガー)。
その現場を観察した、ハンス・ランダは、一足のハイヒールを見つける・・。
この作品の<個人的>白眉の章である。
「第5章 巨大な顔の逆襲」
◆この章の冒頭に大音量で流れる、”デヴィッド・ボウイ” の”Cat People" 盛り上がりますねえ。
ハンス・ランダが、ハマーシュ・マルクを問い詰めるシーン。登山で足を怪我したというハマーシュマルクの言葉に、下品な程の大笑いをした後、個室にてハイヒールを履かせるシーン。
ー 怖いなあ。シンデレラですか? -
ヒトラーを始め、ゲッベルス達ナチス高官たちが映画を楽しむ中、フレデリックは映画を観ることが辛く(そりゃ、そうだ・・。)、ショシャナがいる映写室を訪ねるシーン。
そして、可燃性のフィルムに火がつけられ、炎に包まれた大画面の中、笑うショシャナの顔。
そして、ハンス・ランダはアルド・レイン大佐達を捕らえ、ある取引を持ち掛けるが・・。
<とにかく、手に汗握る、面白き作品。
そして、クリストフ・ヴァルツが美味しい所を、全て持っていった作品。
彼の名優としての演技が炸裂している作品でもある。>