「愛すればこそ。」余命1ヶ月の花嫁 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
愛すればこそ。
TBSで放映されたドキュメンタリーや書籍などを見ておらず、
24歳で亡くなった長島千恵さんの闘病生活を知らないまま、
映画を観てみた…。
だいたいの流れ、結婚式までの道のりなど、あらすじでほぼ
分かってはいたものの、やはりこの若さで…と思うと切ない。。
その後さまざまな反響を呼び、良くも悪くも世間にさらされる
こととなったご遺族と恋人の太郎さんには、色々あっただろう。
自分の運命は生まれた時から決まっているのだろうけど、
今のご時世、男女が出逢って、恋をして、愛を育んで、結婚。
というパターンそのものが崩壊しかけている。それだけに、
若い二人の未来が奪われてしまうことに憤りを感じてしまう。
神様は…あんまりだ。
加えてまたもや親の立場で観てしまうと、この千恵さんの
お父さんに於いては、どれだけ不幸を味わえばいいのだろう。
愛妻を癌で亡くし、一人娘もまた癌で失うなんて…。
私が思う人生最大の親不幸は、親より先に亡くなることだ。
柄本明の抑えながらも悲しみに満ちている表情や態度には、
何度も涙が溢れてしまった。
ただこの作品は、そういう不幸を中心に描くというよりは、
残された人生を恋人や家族、友人と共に前向きに生きた
一人の女性を描き出している。もし自分の人生がここまで。
と分かっているのだとしたら、おそらく残された日々を
出来る限り有意義に生きようと(私なら)そうするだろうと思う。
たとえ短かろうと、精一杯生きる時間は残っていると信じたい。
まだ若い二人の恋愛を素敵だと思ったのは、
人を愛するのに大切なシンプルな想いを貫いているところだ。
好きだから一緒にいたい。いつまでも傍にいたい。離れたくない。
同時に、好きだからこそ傷つけたくない。不幸にしたくはない。
誰かを深く愛すれば、相手の幸せをまず一番に願うようになる。
だから彼女が「彼と別れなければ」と思った理由も分かるし、
「おっぱいがなくたって、千恵が千恵のままならそれでいい」と
決意を固めた彼の気持ちも分かる。互いを想い合う気持ちが
周囲や世間体を後手に退かせるところが若さの特権だと思う。
その勢いがあるから、純粋に想いを実らせることができるのだ。
大切な人を亡くすことは、このうえなく辛い。
でも遺された人間の使命として、このうえなく生きてやらねば。
うんと長生きして、その人が果たせなかった老後を、代わりに
自分が味わい尽くしてやるんだ。と私はそんな風に思っている^^;
(なので毎年健康診断は必須。皆さんも必ず受けましょう。)