「観客にリアリティが無い」余命1ヶ月の花嫁 鬼にキャナ坊さんの映画レビュー(感想・評価)
観客にリアリティが無い
それがいいとか悪いとかは言うつもりはない。映画と近い死を身近な人で経験した事がある人がこの作品観た時の感想はどんな言葉になるか。ー苦しい。狂い死にしそうなほど苦しい。ーこれに尽きる。
空想の中で可哀想とか思っていられた頃ならそれでも張り裂けそうな気持ちになるが数分後には元の気持ちに戻れるんだろう。
それでも純粋に映画を愉しむってそう言う事じゃないだろうか?
自分は4つ上の姉が亡くなってから、この手の作品を観るとその時の事がフラッシュバックして苦しくて寂しくて如何ともしがたい気持ちになる。気持ちをニュートラルに戻すのに随分と時間がかかってしまう。
自分は死を眼前にしてこの主人公のように強く居られない。
僅かしか一緒に居られないなら居られるだけ一緒に居たいけど、もう決して会えない人になってしまった時、会えないから想い出だけが残る。共有して居るから楽しい想い出も1人になると辛いモノになるかもしれない。
だからもし自分だったらビデオレターを遺してくれてもこの主人公のように観る勇気が無い。 風化しない現実と向き合う勇気が無い。
淡々としている演技が評価されにくくなっているけど、ともすれば暗くなりがちなテーマであるからこその演出では無いだろうか。つまり自分のような人間に対する配慮では無いだろうか。
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