「原作は良かったんですが…残念としか言えない」ノルウェイの森 ミーポンさんの映画レビュー(感想・評価)
原作は良かったんですが…残念としか言えない
話題作であり、松山ケンイチさんの演技が観たいということもあり、今まで春樹作品には無縁でしたが、原作を読んでから上映を観ました。
まず…松山さん以外の主要キャラのセリフが上滑りしている気がしてなりません。菊池さんはわざとらしいし、緑役の女の子は棒読みがひどい!ひどすぎる!!
ルックスはイメージに近いかも知れませんが、喋り方が緑の明るい魅力が全然出ていない……どうしてもっと演技指導しなかったのかと甚だ疑問です。
正直、どうしてワタナベが緑に魅かれたのかも、そのせいで全然伝わりません。
映画という尺の短い中で世界観を表現するのはもちろん難しいことはわかります。その中でも重要なことを厳選して時間を使っていくべきだと思うのですが、キスギの自殺のシーンとかあんなに時間いらないし。観ていて怖いです!
妙なだらだらとしたカメラワークも目が回りそうで気持ち悪かったです。
一番気に入らないのはレイコさんと最後に寝るシーン。
原作でもレイコさんと最後に寝るところだけ、どうしても納得がいかなかったのですが、直子の寂しいお葬式を2人で歌を歌ってやり直してあげる
(でもその後寝ることはないんじゃない?と思っていたのですが)
映画版はこれがさらに最悪で、お葬式もせずにレイコさんが「私と寝て」とせがむっていう展開……ここまでくるともはや唖然。
レイコさんも最後に直子とワタナベについて話した一番重要なことをワタナベに伝えてない。あれでは直子がなぜ死んだのか、全然伝わってこない。
ただおかしくなって死んだとしか捉えられません。
あれじゃレイコさんはちょっと知り合った男の子を自分の立ち直りに利用しに来たただのおばさんです。意味不明です。
監督は脚本も書かれたみたいですが、原作を本当に理解されていたのでしょうか??
直子は一番好きな人と寝られなかったのに、その親友と寝れてしまった。
しかしそれはとても気持ち良くて幸せだった。
その自分の矛盾に耐え切れず、さらにもうそんな幸せはやってこないと感じ、自ら命を絶ってしまった。。
そんな切なさが観ている側には伝わらず、直子の自殺シーンも怖いです。
ロケ地は確かに美しいところや迫力のあるところもありましたが
そんなもので誤魔化さずに、もっと役者の演技や、登場人物の心情を描くように努めて欲しかったです。
そういうのが伝わらないので、ただ性描写の多い「エロ映画」になってしまった。裏づけがないから。
原作を読んでいない方には全く理解できなかったと思います。
この意見が何らかの形で制作側に伝わることを願います。