劇場公開日 2010年12月11日

「淡いけど、確かに残る余韻。」ノルウェイの森 ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0淡いけど、確かに残る余韻。

2010年12月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

村上春樹の原作は読んでいます。
うん、この映画は何ていうか、原作とはもうベツモノですね。
「原作の雰囲気を残しつつ」という表現がシックリ来ない感じ。
いや、自分の感覚なんですけどね。

予告を観た時から、原作よりかなりナイーヴに作ってる画だなあ、という印象だったので、トラン監督という人は、ひょっとして原作クラッシャーなのか?と危惧してました。
実際、クラッシュという程ではないにしても、文体を映像に置き換える作業を、この人の解釈なりに行っていたんだな、という感じです。
大胆解釈ではなく、拡大解釈?違うな。何だろう。

それで、うん。確かにナイーヴです。
ずっと紗がかかってる訳でもないのに、全体を覆う淡い雰囲気。淡い情景美。大きな音量で感情を煽る音楽の洪水。
目と耳と心がすっかり奪われたので、すんなりこの世界に埋没できました。

説明過多でもないし、映像の雰囲気で淡々と状況を語っていく感じ。
物語の動きにダイナミズムはなく、淡々と本当、淡く、繊細に。

役者もベストキャストなのかは分からないけど、原作を抜きで考えれば、これで良かったなと思います。松ケンも菊地凛子も水原希子も霧島れいかも、それぞれが良い感じでした。

ただ、これはかなり意見も分かれるんでしょうね、きっと。
自分にとって上手くハマっただけでしょうしね。
終わった直後に、こう、淡い余韻というか、どこか、たゆたう感覚が残ってました。

いや、良かったです。

ロロ・トマシ