「directive comic 探偵文庫の映画化&矛盾」ウォッチメン コバヤシマルさんの映画レビュー(感想・評価)
directive comic 探偵文庫の映画化&矛盾
内容はアメコミ原作の映画化。1985年世界が核戦争や暴力等で破滅に向かう最中、かつての戦争を生き抜き平和に導いたヒーロー達🦸の用済みになった、その後のお話。。。ロールシャッハ記。『その夜コメディアンが死んだ、、、😊』その日誌の記述から物語が再び動き出す、、、一体誰がコメディアンを殺したのか?!世界は破滅するのか?!正義とは?!人類とは?!戦争とは?!自分は誰か?!を問いかける観る人の視点によって見方が大幅に変わる物語。好きな言葉は『誰が見張るのか?!』15年前に解散したウォッチメンが再招集され絶望と共に会議室で話すときにコメディアンが告げる言葉。『アメリカンドリームは実現した。』コメディアンの暴動鎮圧の時の台詞にも胸が痛む。平和の代償が再びお互いの敵を作る!罪作りな人間の業を分かっていたつもりでいた時の台詞。好きなシーンはやはり、Dr.マンハッタンの人間離れした姿と人間の時の心が残っていると思わせる後悔の背中長回しのシーンやロールシャッハを口止めの為に消し去ってしまう事を躊躇う様な顔面アップの辛そうな目の奥の表現が、複雑な心持ちで計算で割り切れるものではないが自分で決断しなければいけない所が良かったです。全体を通して暗く流血シーンも多くグロテスクな表現と何故そうなるの?!とのツッコミ処も多くありますが緩急の付け方が絶妙で長時間でも飽きなく楽しめました。流石に長かったので2日に渡って見ましたが、結果2回観てしまいました。この作品は観る人の感性や立場により大幅に変わる個人的な認識論の最たる作品でもあるので、非常に見応えのある素晴らしい作品だと感じました。テーマも詰め込み過ぎでお腹いっぱいです。自分の様な人で無しの人間には、喉の小骨が取れた様な爽やかな気持ちになる事が出来ました。テーマは人間の業の深さと人間賛歌なのかなぁ?!今回はそう見えました。でも観る人に寄れば全然違うと思う解釈の出来る所が良い作品だと思います。映像では、冒頭の掴み10分が非常に凄い。さらっと流せる様でいて重厚な歴史観そして内容説明と雰囲気が上手く表現されてます。個人的にはケネディー事件の所が好きです。音楽も1980年代物を巧みに使い分け時間を巻き戻された世界観に突き落とされる感覚に陥る何だか凄い作品でした。