「【今作は閉塞感を抱え新興住宅地“レボリューショナリー・ロード”に越して来た夫婦が巴里での新生活を夢見るも、夫の昇進、妻の妊娠により夢絶たれ悲劇的な結末を迎える”平凡が一番。”と言う映画である。】」レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【今作は閉塞感を抱え新興住宅地“レボリューショナリー・ロード”に越して来た夫婦が巴里での新生活を夢見るも、夫の昇進、妻の妊娠により夢絶たれ悲劇的な結末を迎える”平凡が一番。”と言う映画である。】
■1955年夏のアメリカの都市近郊の住宅地“レボリューショナリー・ロード”が舞台。
フランク・ウィーラー(レオナルド・ディカプリオ)とエイプリル(ケイト・ウィンスレット)夫婦は、外面では幸せを装っているが閉塞感を抱えながら普通の日々を、二人の娘と共に過ごしていた。
或る日、エイプリルは人生への情熱を取り戻すため、憧れていた巴里への移住を決意し、フランクに”私が高給の政府機関で働くから、貴方は自由な時間で自分の進むべき道を見つけて”と突拍子もない事を言う。
だが、自分の平凡な父が勤めていた会社で働くフランクは、その話に根拠のない希望を抱くが、適当に書いた”生産管理への提言”と言う資料が上司の目に留まり、昇進をし、彼の心はぐらつき始める。
そして、エイプリルに”給料が上がったのだから、この地で今まで通りに暮らそう。”と言うも激しく反対されるが、彼女も実は妊娠10カ月に入っていたのであった。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・実にシニカルな物語である。サム・メンデス監督はこの作品で何を描きたかったのであろうか。
私は、”平凡が一番。虚栄を張るのは止めて、真面目に生きる事の大切さ”を逆説的に描いた作品だと思う。
・最初に、フランクとエイプリルが閉塞感を脱するために巴里で新生活を始める話をしたときのエイプリルの言葉。”私が高給の政府機関で働くから。”
只の専業主婦がどうやって政府機関に採用されるのか?この夫婦が何の計画性も無く、只現況下から逃げ出す事を考えている事が良く分かるのである。
・臨家の夫婦、シェップ(デヴィッド・ハーバー)とミリー(キャスリン・ハーン)は、二人にその話を打ち明けられた時に、二人が帰った後に、シニカルな表情で言う”何を言ってるんだ”と言う会話や、フランクが同僚にその事を告げても、誰も本気にしないのは、当たり前である。
・ここで、彼らに“レボリューショナリー・ロード”の新居を紹介したギヴィングス夫人(キャシー・ベイツ:嫌な感じ、全開である。)の、精神を患った息子ジョン(マイケル・シャノン)だけが、”アハハ、逃げ出すんだ!”と真実を告げるのもシニカルな演出である。
・元々、フランクは、同じ会社のモーリーン(ゾーイ・カザン)と浮気をしているし、エイプリルも、弾みでシェップと浮気をしているのであるから、ガラスの夫婦関係ではあったのだろう。
■そして、喧嘩をした翌朝、エイプリルは穏やかな顔でフランクに朝食を作り、送り出してから、一人で危険な堕胎を行うのである。
彼女がその後、キッチンで外を眺めつつ、床の白い絨毯に血が落ち、彼女の白いスカートが血に染まるシーンは怖い。
そして、彼女はそのまま病院に運ばれて、亡くなるのである。
その後、その地を離れたフランクが公園で子供達が遊ぶ姿を見ているシーンもシニカルである。
序でに書くと、キャシー・ベイツ演じるギヴィングス夫人が、したり顔で”あの夫婦は何処か、変だったのよ。”などと言う姿もシニカルなのである。
<今作は、閉塞感を抱え新興住宅地“レボリューショナリー・ロード”に越して来た夫婦が巴里での新生活を夢見るも、夫の昇進、妻の妊娠により夢絶たれ悲劇的な結末を迎える”普通が一番”映画なのである。>
