「最初から破滅の予感、この幼稚な妻にはうんざり」レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
最初から破滅の予感、この幼稚な妻にはうんざり
総合60点 ( ストーリー:55点|キャスト:80点|演出:75点|ビジュアル:75点|音楽:75点 )
かなり最初の方から破滅の予感のする作品だった。特に朝食の場面は良かった。二人の演技は真に迫っていて、すぐにこの後で何かがあることがわかった。自殺するのかなと予想したが、そうではなかった。でもやはり何かが起きた。閉塞感に追い詰められている妻の、今にも窒息してしまいそうな状態が見て取れた。
それにしてもこのケイト・ウィンスレット演じる妻エイプリルの幼稚さは目に余る。映画としては家庭に縛られず自由と解放を求める50年代の妻を描きたかったのだろうが、たかだか市民劇場の女優をやっても駄目で、おそらくやったこともない秘書になって簡単に高給がとれると思い込み、パリに移住できることを夢見る。自分の実力以上に自分を評価し、自分で出来ること以上のことが出来ると思い込む。何の実績もないのにいい歳して女優になりたいとかセレブになりたいとか言っている普通かそれ未満の水準の自分のことを勘違いしている女性に何度か会ったことがあるが、この役柄はそのことを思い出させて、観ていてほとほとうんざりする。
演技も撮影も演出も音楽を含めた雰囲気作りもいい作品なのに、彼女の役柄がどうしても気に入らなくて、苛立ちを感じてしまって面白くない。まだまだ豊かではない50年代に、郊外の家と車と家庭がある。それなのに実現する力のない者が現実から目を逸らして夢だけ見ても無駄でしょうとしか思えなかった。ここまで生き方と価値観が違うのならば、さっさと離婚して好き勝手にしてもらえればいいのにくらいの気分だった。エイプリルはパリに行く前に社会に出て働いて、自分がいかに使えないやつなのかを体験して限界を知っていれば、こんな馬鹿げたことに取りつかれなくても良かったのかな。
主演の二人の演技や演出に得点をつけるけれど、これほどまでにも世間知らずで身の程知らずな妻を主人公に据えるという物語には好感を持つことが出来ませんでした。