「乗りかけた船には乗ってしまえ・・・沈没することを恐れずに・・・」レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
乗りかけた船には乗ってしまえ・・・沈没することを恐れずに・・・
『タイタニック』以来の再共演となるレオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレット。嫌気のさしている生活から逃れ、新しい人生を切り開くためにコネチカット州のレボーショナリー・ロードの家を手放してまでパリに住もうと計画する。しかし、妻エイプリルの妊娠、夫フランクのひょうなことから昇進の話によって・・・
飛行機で行けば妊娠なんて関係ないだろうに!とつっこみたくても、時代は1950年代。長い船旅には辛いことなのか、よくわかりませんでしたが、現在の生活の不満から逃れたいがために妻がパリに憧れている様子や、夫の仕事に対する態度などは当時としては風変わりであったとしても伝わってきました。ただ、子供がすでに2人いるという意味がわかりませんでしたが・・・
夫婦で見てもらいたいというコメントがあちこちで聞かれるのですが、現在の不況下における就業事情などとも比べると興味深いところがありました。平凡だけど、暮らしを支えるには十分な職場。レボーショナリーという言葉が象徴するように、かつて女優の夢を追いかけて挫折した妻の立場も考えると、茨の道を歩むことより安定した生活を選ぶのが賢明であると思うのが現代人なのかもしれません。30歳前後というと、夢をとるか生活をとるかを選択できる、ぎりぎりの年齢なのも巧い設定です。
夫の浮気や妻のよろめきなどのエピソードも絡んできますが、このディカプリオとウィンスレットの葛藤と感情を噴出させるシーンに迫力がありました。とても『タイタニック』の二人とは思えないほどの演技力。大女優キャシー・ベイツがかすんで見えるくらいです。個人的にはその息子であるジョン(マイケル・シャノン)の不気味ではあるが核心をつくキャラに圧倒されてしまいました。
監督はサム・メンデス(ウィンスレットの旦那)。ハッピーエンドになるわけありません。自己堕胎しようとするなど、レイティングが必要だと思われるくらいですが、共和党から民主党へと変わったアメリカを人工妊娠中絶の是非と言う点で描きたかったのか。素直に病院で処置していれば・・・などとも考えさせられる。
などと、実は小難しいことは何も考えずに観ていたのですが、50年代の音楽がとても良かったと感じたのです。気になったのはダンスホール(?)でドラマーがボーカルをとっていたスティーヴ・コヴァック・バンド。演じているのはダフィ・ジャクソンという方(クレジットでなんとなく確認)らしいのですが、気になります・・・
【2009年1月映画館にて】