「懐かしい思春期の男の匂いがする映画」おっぱいバレー こもねこさんの映画レビュー(感想・評価)
懐かしい思春期の男の匂いがする映画
映画で感じることがないのは匂いだ。しかし、この作品では、画面から匂いが漂ってきているように感じた。薄汚い男子バレー部室、おっぱいに執着する男たち、と、男には懐かしいが女性にはあまりウケの良くない、性欲ムンムンの思春期の男たちの匂い。しかし、一方では若くてきれいな女性教師の汗や小汚いが素朴な一杯飲み屋、など、いい匂いもしてくる。その匂いたつシーンが多いのが、この作品の魅力のひとつだと思う。
この作品は、教師だった原作者の女性の体験に基づいた実話に近い内容らしい。その原作は読んではいないのだが、映画を見る限り、その思春期の男たちの匂いに原作者が愛着を感じていた、教師としての優しさを大いに感じられた。だから、女性が嫌うようなシーンがあっても、この作品が意外に女性たちにウケがいい要因ではないかと思う。その意味では、原作者の思いや気持ちを体現してみせた、主演の綾瀬はるかの純粋な演技に拍手を送りたい。私個人は、今までは綾瀬はるかという女優は、天然ぽいところが苦手で、ちょっと見づらい役者さんと思っていたのだが、その見方は180度変えなければいけないようだ。
映画評論家的な見方をすると、この作品のストーリー展開は新味があるわけでもなく、これはスゴイと唸らせるシーンがあるわけでもないので、評価が低い人も多いかもしれない。しかし、観客が画面に登場する人たちすべてに共感し、思わず応援したくなる気分になる、エンタテイメントの真髄がある作品にはあまりケチなどつける必要などないだろう。80年代の雰囲気、流れる歌謡曲も心地よい、こういう作品はもっと世間的に話題になってもいいと思う。が、題名で損したかなあ...。
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