劇場公開日 2010年3月6日

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「歯がガタガタと鳴るほどの臨場感」ハート・ロッカー マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5歯がガタガタと鳴るほどの臨場感

2010年3月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

言葉が通じず文化も違う異国。同じ前線でも、見えない敵との間に仕掛けられた爆薬が相手の日々は毎日が死と隣り合わせだ。その緊張感とストレスがひしひしと伝わってくる。怖いとは思わなかったが、アドレナリンが分泌されるのだろうか、歯がガタガタと鳴る。数秒先も分からない極限状態に身を置く彼らにとって、血を分けた肉親の存在は、自分が生きてきた証でもある。
恐れ知らずに見えるジェームズは、虚勢を張るただの命知らずなのか? いくつかのエピソードを積み上げながら解き明かされていく。
日常の買い物もろくにできない男だが、爆発物を処理する快感から逃れられない中毒を持ち、なによりも、一人の犠牲者も出したくないという強い信念が根底にある。そんな漢たちが乗るクルマに、現地の子供達は石を投げつける。
とても女性が作った映画とは思えない。骨太で臨場感があり、ビスタという小さいサイズながら、すっかりはまり込んでしまう。
爆薬処理もサスペンスフルだが、砂漠で敵と遭遇するエピソードは、さらにジェームズの新しい一面を見せつつ、作品に於けるひとつのアクセントにもなり、その演出が素晴らしい。
だが、万人向けの映画ではない。

マスター@だんだん