劇場公開日 2009年3月7日

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「巧みなストーリーテーリングにしてやられました。惜しむらくは、93分という短さ。もう少し、クレアの恋の顛末やら、ラストのどんでん返しに行き着くまでの過程を、丁寧に描いてほしかったです」パッセンジャーズ 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5巧みなストーリーテーリングにしてやられました。惜しむらくは、93分という短さ。もう少し、クレアの恋の顛末やら、ラストのどんでん返しに行き着くまでの過程を、丁寧に描いてほしかったです

2009年2月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 試写会のサプライズとして、何故か山本モナが登場。余りに意外だったので、歓声が上がりました。本作が飛行機事故が背景になっているということで、キャスター時代の事故取材について語っていました。あと際どい質問として、どんなことで癒されるかという問いに、帰宅時ペットのワンちゃんのお出迎え挙げて、『彼(犬)』に見つめられているだけで癒されてしまうって意味深に語っていました。
 といいながら、本作にも犬が登場人物を癒すシーンがあったので、見事な前振りだったようです。

 さて作品の方は、テレビ朝日の『USOバスター』のウソ映像に見事に引っかかった感じのどんでん返しがあり、唖然としました。
 意外な神秘さという点では、大林宣彦監督の作品に似ているかもしれません。
 帰りがけの観客も口々に普段よりも多くストーリーを評し合っていたけれど、その口調には、なにやら怒りの波動を感じずにいられませんでした。
 だってそうでしょ、なかなか面白くなったなというところで、それらが全部いきなりひっくりかえって、衝撃の史実が明かされるなんて!じゃあ90分間全然勘違いのストーリーを見せつけられたのか、あれは何だったのか!もぉ~と愕然となった次第です。

 飛行機事故のあとに次々起こる不可解な謎。余計な説明はカットして、次々と謎が隙間なく畳みかけるように描かれていきます。どうも飛行機会社が事故をもみ消したがっているとしか考えられない状況をたっぷりさんざん暗示させる伏線部分は、社会派サスペンスとして、凄く引き付けられました。
 しかも主人公クレアと患者との間で恋が生まれるラブストーリーもあり、濃厚なベットシーンまで加えて、現実感を演出しておりました。

 ああ、そのシーンですら・・・(う~何も言えましぇん)

 登場人物が消えていくこと。何年も前に死んだはずの人物やペットの犬が登場するところで気がついたという人もいたようですが、小地蔵はすっかり騙されたぁぁぁ!

 観客を完璧に騙してしまうロドリゴ・ガルシア監督のストーリーテーリングと心理描写の巧みさは脱帽ものです。
 ただ惜しむらくは、93分という短さ。もう少し、クレアの恋の顛末やら、ラストのどんでん返しに行き着くまでの過程を、丁寧に描いてほしかったですぅ。こっちが鈍感なだけかもしれませんが。

 それにしても、モナさんも指摘していましたが、アン・ハサウェイは実にキュートな女優さんですね。チャームポイントは、大きな瞳。注意してみると、ホント大きいんです。 ただ可愛いだけでなく、監督の演出にパーフェクトに答える演技ぶり。
 セラピストとして患者に接するところなんぞリアルティ満点で、すっかり騙されました

流山の小地蔵