「追っていた真実が意味を持たないという、新手のサスペンス」パッセンジャーズ kazzさんの映画レビュー(感想・評価)
追っていた真実が意味を持たないという、新手のサスペンス
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死後の世界だったのね…という、衝撃の結末。
真実を知ったアン・ハサウェイが、周囲に現れた死者たちのことに気付いた時、例えば子供の頃の恩師が上司として、叔母が隣人として現れていたことに違和感を感じた。生前の立場で現れないのか…と。
が、最後に姉が現れたところで納得した。
この物語の舞台は、死後の世界であって現世ではなかった。登場する人物は死者だけで、だから生きている姉は姿を見せなかったのだ。
そして、死を自覚させるために縁のある死者たちが回りくどく気付かせようとするのだと。
『シックス・センス』は舞台が現世だったので少し混同したが、なるほど描いている世界が全く別なのだと気付くと、同じテーマでもこういう描きかたもあるのかと感心しきり。
死を受け入れられないという発想は、古今東西を問わずあるもので、日本的には「成仏できない」というやつだろう。
姉妹の確執が物語のキーだったことが、クライマックスで分かる仕掛けも良かった。
主人公が死を自覚した時と、姉が遺品の手紙を見た時の二段階で主人公の思いが表され、胸を打たれた。
事故の原因は本筋には関係なかったのだ。
アン・ハサウェイは20代半ばで、人気絶頂の上に演技者としても評価され始めた時期の作品。
ハサウェイ推しの映画だと思うが、本作の彼女は美しい。
人気作、話題作の狭間に公開され、彼女にとっての代表作に揚げられることはないが、秀作だと思う。
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