「夢のカード。」正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
夢のカード。
久々に見たH・フォード、かなり歳をとったな~^^;と
感じながらも、今回は素晴らしい脚本を選んだと思う。
監督は南アフリカ出身で、自身も米国でグリーンカード
を取得した“移民”であるウェイン・クラマー。
経験した?リアルな移民事情がこれでもかと描かれる。
犯罪…もある程度絡むが、それよりも巧妙に取り入る
移民たちのグリーンカード取得合戦の方が主体の作品。
ハリソンも、アンサンブル俳優のひとりとして
派手でも地味でもなくICE捜査官としての正義を演ずる。
日本でも先頃、ニュースになった外国人不法就労問題。
日本で生まれた子供は残留、両親は国外退去となった。
法は遵守されるためにあるのだから、いたしかたない。
が、人間としてそれはどうなんだろう?と考えるところに
この問題の難しさがある。
もちろんここで移民たちが繰り広げるのは不法行為だが、
(日本生まれの私なんかが、そんなに欲しいの?と思う)
グリーンカードの価値が、彼らには計り知れない夢である。
自国で叶えられない生活が、外国でなら手に入る。
どんな危ない橋を渡ってまでもやり遂げようとする執念の
眼差し(女優の卵など)には、正直恐れ入る部分もあった^^;
加えて今作では、そういった個人の問題だけでなく、
9.11以降の米国が抱える対外感情の問題点が描かれる。
学校で問題発言をした女子高生をテロの脅威とみなし、
すぐさま強制捜査、拘束するところなどは本当に怖い。
身近に潜んでいるのでは。と目を光らせる捜査官自身も
あのときの恐怖から逃れられなくて、喘いでいるのだ。
ほんとうに悲しいくらいに、いまの米国では、
アメリカン・ドリームなんて言葉がものすごく遠く感じる。
が、わずかな希望も残されており、
人間同士の思いやりや努力が何処かで報われてもいる。
ハリソンの苦渋に満ちた表情を観ながら、
もしも自分だったらどうするかを最後まで考えさせられた。
(自分の国がいちばん好き♪と皆が胸を張って言えたら。)