ノーボーイズ,ノークライのレビュー・感想・評価
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【”アジアの純真。そして人魚。”今作は日韓の希望なく生きる青年二人の、夫々の家族を想い、現状から抜け出ようとする奇妙な連帯を描いた作品である。】
■韓国、釜山からボートに一人乗り込み、日本の闇組織のボス、ボニョン叔父さんに荷物を運ぶヒョング(ハ・ジョンウ)と、彼のボートを日本側で迎える仕事をする亨(妻夫木聡)。最初はキムチなどのボニョン叔父さんの好きな食材だと思っていたが、あることを機にその荷物が麻薬だと亨は気づく。
そして、次の荷物として送られてきた父親がボニョン叔父さんから多額の金を盗んだ事で拉致された少女テスを利用して金を奪おうとし、ヒョングもそれを手伝うことになる。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・序盤は、ヒョングはボニョン叔父さんに媚びへつらい、亨も笑顔無く淡々として仕事をしている。
そして、その理由が明らかになって行く。
ヒョングは幼き時に、母は病弱な弟を連れて何処かに行ってしまい、それが心の傷になっており、亨も自分の素行により別れた妻(貫地谷しほり)に未練があるのである。
・更に亨の妹(徳永えり)は父親の違う3人の幼子を育てており、一番小さい子は病弱である。
ヒョングと亨は逃げた少女テスから、失踪した父を探してくれたら、多額のお礼をすると言われ、ボニョン叔父さんを裏切り、少女テスを助けようと父を探すのである。
■今作のインパクト大のシーンは、矢張り亨が”アジアの純真”をカラオケ大会に飛び入りで歌う所に、ヒョングがそのステージに共に上がるシーンであろう。
”アジアの純真”を選択した演出が上手いし、二人が跳ねる様に屈託を晴らすように歌う姿が良いのである。
更には、亨が”家族全員”を連れてバンで逃げる時に、同行したヒョングが”もし置いて行くとしたら誰にする?”とバックミラーに映る3人の幼子を見て亨に尋ねるシーンである。
亨は“なに馬鹿なこと言ってんだ!!”と言いつつ、”真ん中の子だな。”と答え、ヒョングが”何故?”と聞くと、亨は”アイツは、一人で生きていけるから。”と答える顔を見て、ヒョングは、何故自分の母親が、病弱な弟ではなく自分を捨てたのかを悟るのである。
そして、彼は車のサイドブレーキを引き、車を停めて自らが皆を助けるために、ボニョン叔父さんの所に行くのである。
<そして、ヒョングはボニョン叔父さんの手下により海に沈められるが、幻で同じくボニョン叔父さんに海に沈められた母親が人魚として彼の元にやって来るのを見るのだが、それは亨であり、彼は亨により海中から引き揚げられ、人口呼吸をされるのである。
今作は日韓の希望なく生きる青年二人の奇妙な夫々の家族を想う奇妙な連帯を描いた作品なのである。>
主演2人が良いね
アジアの純真
久々に面白い映画だった。ポイント溜まってたので無料で見れた。 家族...
久々に面白い映画だった。ポイント溜まってたので無料で見れた。
家族がいなくて独りで生きている韓国人
だらしない妹も含め家族を支える日本人
どっちも裏社会に片足突っ込み、¥に翻弄されながら自分の生き方を探している。
仲間なのか、敵なのか、同士なのか、金づるなのか、ハードボイルな内容なのに、人間くさくて共感して見入ってしまう。
なんだろう、それぞれの人物がすごい伝わってきた。(特にだらしいない妹。彼女なりに後ろめたさと責任感をもっているんだろうね)
対照的なんだけど似ている、似ているけどま逆のポジション。
そして説明しすぎないけど必要な情報は提供してくれる。そんな見せ方だからか!?
地元の山口が舞台設定みたいだけど、エンドロールみたら新潟だったんやね。
まぁー冥土。
この日韓共作映画、俳優にイケメン二人の演技派を揃え、
脚本に日本側から渡辺あやを迎えて、つくられている。
…確かにこれだけでもそそられる顔ぶれ^^;
しかし観終えた感想は、私個人の見解で韓国映画かな。
家族の取り上げ方がハンパでないところなど(モロ韓国ね)
住まい方や暮らしぶりなど、一昔前の日本を観ているよう。
ただしかし、こういう人間同士の絆には古さも臭さもなく、
淡々と描かれる互いの切なさが、訥々と胸に迫ってくる。。
明らかにどうしようもない生活難から抜け出せそうにない
(抜け出そうともしていないんだけど)逆境からの起死回生
ドラマを、観客はすごく期待してしまうのだわ…たぶん^^;
いやしかしー。
なにより驚いたのは、ずば抜けたオーラを発揮するこのヒト、
ハ・ジョンウ。まったく垢抜けない青年役だというのに(爆)
そのだらしない寝そべり姿ですら、存在感を丸出しまくり。
「チェイサー」での彼は、可愛い顔して殺人鬼(!)だったが、
今回の役はそのまんま普通人、こういう役をアッサリ演じる
器の大きさがなんか将来性を感じさせるなぁ…^^;
悪いが妻夫木くん、今回は完全に食われちゃってますね。
まぁ冒頭~ほぼ無口で通してきて、中盤、堰を切ったように
器用に韓国語を話し出す彼にも、けっこう驚きがあるけれど。
陰と陽の関係とも見える、彼らの間には「家族」が横たわり、
それを「捨てたい」側と「捨てられた」側の、各々の闇がある。
いまどき、こんな不幸な家族が!?と思うほどリアルに
ひとつ屋根の下に暮らす亨(妻夫木)の家族がなぜか明るい。
昔から「貧乏子沢山」とはよくいったもので(意味が違うが^^;)
こんな生活、イヤだ~!と叫びながらも、案外楽しい瞬間が
あったりする。親に捨てられ(あるいは父親が行方不明?)の
男女からすれば、どうしようもなく楽天家族に映るのだろう。
切りたくても、切れない絆。
結びたいのに、結べなかった絆。
この描き分けがかなり上手い。
結局のところ、彼らは同じことを経験してきた同士なのだ。
多くを語らず、男泣きに咽いでも、なにかを守ろうとして
自分を危険にさらすことを由とする男の性分のようなものを
最後まで日韓演技対決!で魅せてくれる…。
これは、私のように意気地のない女(汗)には叶わない闇だ。
その闇に光を当てたラストのアッサリ感も、韓国映画らしい。
(でも最初の人魚は怖かった^^; マーメイド感ゼロだもんな。)
心が正直になりました。
家族って・・
ボーイズがどうしようもない現実に翻弄されマーメイドのように漂う。
★
妻夫木聡や貫地谷しほりは、いつも通りと言えばいつも通りで、
“チェイサー”とは全く違うちょっとおバカな役を演じた
ハ・ジョンウはちゃんと役作りしていてしっくりくるが、
それ以上に僕は徳永えりのポッチャリに、
眉薄にちょっとショックを受ける。
劇中の言葉を借りれば、バカで、
ヤリ○ンの妹という役の雰囲気は十分出てていいんですけど、
徳永えりファンは濡れ場はないけど、頑張りを観た方がいい。
渡辺あやの独特で繊細な脚本が韓国人監督でどうなるか興味深かったが、
主人公二人が明らかに体格差があるのに互角だったり、ぶつかりあいとか、
韓国映画と言えばハンマーやパイプ椅子をぶん回すような
画をイメージしちゃうけど、
血生臭さはあるにはあるが、その辺が押さえ気味で、
もうちょっとぶつかり合ってもよかったと思わないでもないが、
間の抜けた笑いにクスクスとし、主人公二人の現実と幻想に、
何とも言えない心地よさを感じる。
擬似家族な食卓を見つめるシーンの優しい眼差しや、
“その土曜日、7時58分”のような雰囲気も漂っている、
どうすればいいのか分からず、事はうまく運ばず、
背負っているモノは重くのしかかり、
自分自身がどうしようもなく情けなく、
そんな二人が歌い上げるアジアの純真に、何だか泣けてくる。
★
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