宮廷画家ゴヤは見たのレビュー・感想・評価
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何故英語?
てっきりゴヤをバルテムが演じてるかと思って見始めたら、ゴヤはロレンツォとイネスを「見てた」人でしかなかった。でバルテムのロレンツォはというと俗物日和見主義のゲス野郎で、やっぱりアントンシガー(ノーカントリー)にしか見えない彼がこれ程弱っちいと非常に残念でしかない。
残念と言えば、これはスペインの話なのに全編英語。こーゆー詰めの甘いの好きじゃない。話の展開も、時代が時代だから仕方ないかもしれないが、やや矢継ぎ早感が否めない。というか、編集で大部分カットしたのかもしれない。
ナタリーポートマンの、15年後の悲惨な姿は良かったけど、もっと汚れていても良いし、娘も違う人が良かったなあ。
十分楽しめました。
凡人の代表サリエリが主役のアマデウスしかり、今回もゴヤではなく、ロレンゾが主人公といっていいと思います。俗物のロレンゾが打算ゆえにイネスの運命をもてあそぶさまを、ゴヤが客観的に観察していく内容です。ゴヤは一応良心もあるしみんなに親切なんですが、基本的に一歩距離を置いたところにいますね。
僕は屈折して欲にまみれたロレンゾが、最後に死刑を受け入れる場面が大好きです。それは誇りでもなんでもなく、自分自身という存在への疲れなのではないかと解釈します。
アマデウスやカッコーの巣の上でのようなパワーはないですが、何度も思い返して考えさせられる内容です。しいて言えばナタリー・ポートマンの演技がイモ過ぎてぶち壊しでした。
どんなふうに、歴史に残りたいんですか?
映画「宮廷画家ゴヤは見た」(ミロス・フォアマン監督)から。
「画家ゴヤの自伝」と思って観始めたのがいけなかった。
ゴヤは主人公ではなく、あくまで客観的な立ち場で、
歴史の渦に翻弄される人々を「見た」という意味である。
そんなことを考えていたら、面白いシーンを目にした。
宮廷画家のゴアが、王妃に肖像画を依頼されて、
描き始める前に、王妃に訊ねる。
「どんなふうに、歴史に残りたいんですか?」
王妃は答える。「あるがままに、若く美しい姿で」
何気ない画家とモデルの会話であるで、
なぜか気になってメモをしておいたら、
肖像画完成披露のシーンで、こんな会話に出会う。
「王妃に近づいたことはないんですが、こんなに醜いんですか?」
「なぜだ? 美しい絵だよ」「絵は美しくても、王妃は違います」
ゴヤにしてみれば、王妃が望む「あるがまま」に描いたら、
やや疲れた笑みを浮かべた王妃になってしまった、ということらしい。
権力は人間を大きく変えることを、この映画は教えてくれた。
「本当の真実はどこにあるのか教えてください」
この映画のテーマとなる叫びかもしれないな。
P.S
ラストシーン、言葉や文字で表現できない映像の力を痛感した。
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