「悲劇であり喜劇です」宮廷画家ゴヤは見た あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)
悲劇であり喜劇です
名作「カッコーの巣の上で」や「アマデウス」の監督、ミロス・フォアマンの最新作でございます。
宗教や歴史のうねりにそそのかされ、翻弄される人々が描かれるわけで、それを宮廷画家ゴヤがストーリーテラーのような存在で物語は進んでいきます。ゴヤは本作のドラマを盛り上げる起点になっていますが、決して主役ではありません。
実際にあったであろうフィクション映画であり、このような国家の「犯罪」を歴史として浮き彫りにさせたこと事体にとても価値あります。フォアマン監督の演出はシンプルかつ、どこかにこの悲劇を喜劇のように取り扱っている趣があるのがとても印象的。どこか作家セリーヌのスタンスを感じます。老獪ってやつです。
フォアマン監督は、もはやかつてのパワーもエネルギーもありません。むしろ、映画を作ること自体に純粋な喜びを感じているかのように、とてもシンプルに、変に肩のこった意匠もなく、観てて疲れません。
でも、やっぱり「アマデウス」の頃のような作風をもういっかい観たいな。
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