劇場公開日 2008年10月4日

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「人がヒトたる所以がそこにはある」宮廷画家ゴヤは見た カサキショーさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0人がヒトたる所以がそこにはある

2008年9月28日

悲しい

怖い

この作品は
ゴヤという歴史上実際にいたスペインの偉大な画家が、
18世紀後半から19世紀初頭にかけて自分の目にした事を
ある一組の男女の運命を通して描いた作品です。

時は18世紀後半、世の中の秩序を守ろうと
教会は異端の取締りを強化する。
滑稽な事に、男が立ちションするとき廻りの人に見られないように
こそこそするのは割礼のせいで、異教徒だからだ、とか
難くせをつけながら憲兵隊のような者たちを市中に見回らせる。
そのせいで、美少女のイネス(ナタリー)は、
居酒屋で豚肉を食べなかったばかりに、
異端者扱いされ、拷問のすえ、ありもしない告白をさせられてしまう。
このシーン、全裸姿のイネスの演技が凄ざましい。

対する、協会側の先導者となったロレンソ神父(ハビエル)は
取締り強化を主張しておきながら、都合が悪くなると、
国内へ逃亡し、ナポレオン軍とともにスペインへ凱旋してくる。

その後、スペイン国内は戦火となり、正義とは何かを
見失ってします。
そんな混乱をゴヤの目を通して描いているのです。

今の世の中も、アメリカ同時多発テロ以来の戦争が続き、
何のための戦争なのか、何が正義なのか不透明な世の中です。

そんなことを、この映画を通して訴えたかったのでしょうか。
私にはそのように思えてなりません。

同じ事を何度も何度も繰り返す、人間の愚かさよ!

カサキショー
きりんさんのコメント
2022年10月10日

そう!風刺画家ですね。

きりん