「どんなふうに、歴史に残りたいんですか?」宮廷画家ゴヤは見た shimoさんの映画レビュー(感想・評価)
どんなふうに、歴史に残りたいんですか?
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映画「宮廷画家ゴヤは見た」(ミロス・フォアマン監督)から。
「画家ゴヤの自伝」と思って観始めたのがいけなかった。
ゴヤは主人公ではなく、あくまで客観的な立ち場で、
歴史の渦に翻弄される人々を「見た」という意味である。
そんなことを考えていたら、面白いシーンを目にした。
宮廷画家のゴアが、王妃に肖像画を依頼されて、
描き始める前に、王妃に訊ねる。
「どんなふうに、歴史に残りたいんですか?」
王妃は答える。「あるがままに、若く美しい姿で」
何気ない画家とモデルの会話であるで、
なぜか気になってメモをしておいたら、
肖像画完成披露のシーンで、こんな会話に出会う。
「王妃に近づいたことはないんですが、こんなに醜いんですか?」
「なぜだ? 美しい絵だよ」「絵は美しくても、王妃は違います」
ゴヤにしてみれば、王妃が望む「あるがまま」に描いたら、
やや疲れた笑みを浮かべた王妃になってしまった、ということらしい。
権力は人間を大きく変えることを、この映画は教えてくれた。
「本当の真実はどこにあるのか教えてください」
この映画のテーマとなる叫びかもしれないな。
P.S
ラストシーン、言葉や文字で表現できない映像の力を痛感した。
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