「鏡の中のもう一つの世界」ブロークン(2008) 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
鏡の中のもう一つの世界
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鏡の中にあるもう一つの世界。
自分以外の人間は全て宇宙人なんじゃないか?と疑いを持つ物語は、SF映画の中ではよく使われる要素でしよう。
観終わったばかりで直ぐには思いつかないが、『光る眼』などはそんな1本だったかな?
最近では『ノイズ』が近いか。手塚治虫がブラックジャックの挿話で、危険な手術を受ける少年の不安から来る妄想で、似たような話を描いていたのを思い出します。
主人公の女性の家庭では父親の誕生日を祝い幸せそのものだった。
しかしその幸せな空気を一瞬の亀裂が引き裂いた。
以後、生活に密着した全ての物が主人公の眼には不安感を増幅し、耐え難い妄想に脳内は支配され、精神をも圧迫する。
やがて少しずつ記憶の断片のパズルは嵌り始め、 妄想は現実味を帯び、確信へと近づく。
“表の住人”が必要な時に“中の住人”が呼ばれる。
壁が取り払われた事で、中の住人が自分の意志で飛び出して行動する。
果たして今、目の前にいる人間はどっちなのか?
そして記憶を甦がえらせた時に、この鏡の前に居る自分は…。
スーパースローを多用して事故の前後の記憶を必死に手繰り寄せ様とする主人公。凝った編集により、過去の記憶を含めて短いフラッシュバックで幾度となく繰り返される。
かなり難解だけれど、もの凄く刺激的なサスペンスドラマでした。
それだけにあからさまなヒッチコックの模倣は余分な気がしましたが。
(2008年11月19日テアトルタイムズスクエア)
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