劇場公開日 2008年11月15日

「映像は美しく、空気感も素晴らしいが・・・。」ブロークン(2008) いきいきさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0映像は美しく、空気感も素晴らしいが・・・。

2008年10月15日

怖い

知的



 突き付けられた真実に「えぇ~うそ~ん」ではなく、
「あぁ~やっぱり、そっち方面なんだ」と納得。

 病院で“内臓逆位”の症例に興味を示している
 X線技師のジーナ(レナ・ヘディ)はロンドンに暮らしていた。
 父親(リチャード・ジェンキンス)の誕生日を祝おうと、
 恋人のステファン(メルヴィル・プポー)、
 弟のダニエル(アシエル・ニューマン)、
 そしてダニエルの恋人のケイト(ミシェル・ダンカン)と
 サプライズでパーティーを開き楽しんでいた。
 すると、その最中に、大鏡が突然割れてしまう。
「鏡が割れると7年間不幸が続く」という迷信を笑いながら口に出すが、
 鏡が割れることで起こり始めた不幸は、迷信以上かもしれない。
 職場からの帰り道にジーナは自分と同じ赤いチェロキーを運転する
“自分”とそっくりの人物とすれ違う。
 その彼女を追いかけ、彼女のアパートに忍び込むと、
 その部屋は自分の部屋と全く同じであった。
 父親とのツーショット写真以外は・・・。
 その帰路に交通事故に遭ってしまったジーナは、傷は軽かったものの、
 記憶の一部を失ってしまい、それから、恋人が別人になったように感じ、
 家族にも違和感を感じ、“カプグラ症候群”と病院で診断される。

 冒頭に提示されるのは“エドガー・アラン・ポー”の
“ウィリアム・ウィルソン”だそうです。知らんけど。
 その作品にインスパイアされた作品。

 観ようと思って結局観ずに行っちゃったけど、
“フローズン・タイム”の監督ショーン・エリスが長編2作目で描き、
 仕掛けたのは“美しきシンメトリー・サスペンス”だそうです。
 写真家でもある彼が切り取る映像は、確かに美しく、魅力的で、
 別の顔を演じる役者の気持ち悪さ、街の重苦しい空気感、
 そして、音楽も効果音も、不安をこれでもかと煽る。
 で、ちょっと眠くなり、鏡の割れる音にビックリする。

 何度も観ることになる交通事故のシーンはハイスピードカメラを使用して
 正面衝突を撮影し、スローで見せ、衝突し車が凹んで、
 ガラスが粉々に飛び散る様子まで綺麗に捉え、
 俯瞰からのショットも美しい、けどちょっとウザイ。

 不安を煽るだけ煽って、見せない事で、
 緊張感を持続させるんだと思っていたら、いきなりホラーテイストになり、
 その映像は漫画的で、笑っちゃいそうになったけど、
 誰も笑っていなかったので我慢する。

 恋人が別人になったとか、家族も怪しいとか、
 要素としては侵略系の作品などではあったし、
 新しくもなんともないんだけど、何をどうしようとしてるのか、
 目的は単純に分かるようなことだけなのか、
 大体ヤツラはコチラが分かっているだけ存在するのか、
 はっきり分からないことが新しいのか、
 その分からなさも気持ち悪いでしょ?ということなのか、
 そもそもその解釈が間違ってるのか、分からん。難しく考えすぎか?

 入場前に普通サイズのチラシと一緒に渡された
 小さめの折り畳みのチラシを開いたら、公式サイトにもあるが、
 作品に散りばめられたキーワードがあり、ネタバレ注意の文字を見て、
 急いで閉じて、鑑賞後に見てみたけど、
 注意してオカシイと思いながら観てた部分もあったし、
 ナルホド!ということもないんだよな。ネタを知って、
 キーワードを気にして、見返すと全てを計算しているような作風だから、
 ナルホド!があるのかもしれない。

 ていうか、オチの解釈が間違ってるのか?
 間違ってなければ、ありがちだったかな。

いきいき