「ジョン、カッコいい!!」パブリック・エネミーズ 勝手な評論家さんの映画レビュー(感想・評価)
ジョン、カッコいい!!
1930年代アメリカで多数の銀行を襲うとともに、時には逮捕されながらも脱獄を繰り返して、時の連邦捜査局長官J・エドガー・フーバーに「社会の敵No.1」に指名されたジョン・デリンジャーを描いた映画。
ジョン・デリンジャーを演じたのは、ジョニー・デップ。ジョニーって、ちょっと変わった役しかやらないのかと思ったら、こう言う“普通の”役もやるんですね(失礼)。ジョニー、カッコいいです。だって、「好きなものは、野球、映画、高級服、速い車、そして君」なんて言われたら、キザとも思いますが、「カッコいい!!!」と思っちゃいますよね。
そして、ジョンを追うBOI(のちのFBI)捜査官メルヴィン・パーヴィスを演じるのはクリスチャン・ベイル。こちらも、ニヒルな捜査官でカッコいいです。もっとも彼は、現場の責任者に過ぎないので、上司の長官の理不尽あるいは目立ちたがりな行為に反感を抱いていたんじゃないですかね? 明示的にそう描かれてはいませんが、そういう雰囲気も演出から感じました。
そして、メルヴィンを捜査責任者に指名した(目立ちたがりの)BOI長官は、若きJ・エドガー・フーバー。フーバーは、デリンジャー追跡などの功績で、 BOIが改組されたFBIの初代長官になって、その後1972年に死ぬまでその職に留まったのは有名な話。彼は管理者としては有能だったかもしれませんが、捜査官、あるいは法執行者とては、微妙だったのかもしれませんね。
物語は、1933年5月22日にジョンが起こした脱獄補助事件から始まります。そして彼は、1934年7月22日には射殺されていますから、ほんの1年ほどの間の話なんですね。そして劇中では、かなり初期にジョンは「社会の敵No.1」に指名されていますが、実際には映画では後半になるリトル・ボヘミア・ロッジでの銃撃戦の後(1934年6月22日)です。この違いは演出上の都合でしょうね。それと、ジョンが射殺されるときにいたアンナは「赤いドレス」を着ていたと言われているんですが、映画では、そうでは無かったですね。何故でしょう?
いやぁ、それにしても、これだけの短期間に、よくこれだけの事件を起こしますね>ジョン。当時は世間からは義賊的に扱われ、好意的な意見も多かった様ですが、当時は娯楽が少なかったからと言ったら、言い過ぎですかね? つまり、彼の行為を一種の“娯楽”として捉えていたんじゃ無いでしょうか? いまなら、必ずしも好意的な雰囲気にはならない気がします。
1930年代なので、現代の人間も、いろいろな所で、その風俗や街並み、生活習慣を眼にすることがあると思います。当時のころのラジオとか、飛行機、車など、よく集めたと思います。その辺の時代考証は、比較的行われていたんじゃないでしょうか。
上映時間は、141分。途中までは、非常に引き込まれたんですが、最後は少し飽きました。141分はちょっと長いかも。もう少し短い方が、集中して楽しめると思いました。