「西川監督の描く、やさしい国ニッポンとは」ディア・ドクター カサキショーさんの映画レビュー(感想・評価)
西川監督の描く、やさしい国ニッポンとは
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この映画の監督、西川美和さんは、
先ず脚本を作り、映画を作り、その後小説で
いろんなエピソードを作っていくそうです。
そんな監督が作った、この「ディア・ドクター」は
劇場予告を観て、勘のよい人ならだいたいのあらすじは
読めているかもしれません。
僻地の無医村で勤務するニセ医者伊野を笑福亭鶴瓶が演じます。
ごく普通の健康的な生活を送っている人々にはストレスなど無く、
いざとなったら医者がいるという安心感で充分なのでしょうが、
伊野医師は独特のあじの有る笑顔で、村人達の健康を献身的に
守っています。
そんな彼に惹かれ、若い研修医(瑛太)は
この村で働くなどと言い始めます。
「医は仁術」という意味がわかりかけた証拠なのでしょう。
いくつかの印象深いシーンがあります。
製薬会社の営業マンの香川照之が、松重演じる刑事に、
彼は何故医者になりすましたのかと聞かれると、
営業マンは考えこむ。すると、彼の座っていたイスが
突然ひっくり返えった。それを支える松重刑事。
礼も言わず営業マンは言う。何故いまイスを支えたのかと。
営業マンは続ける。彼はあなたと一緒の事をしただけですよ、と。
そんな彼が、村から出ていったのは、
八千草薫と井川遙演じる親子の情を慮ったから、
母の病状を心配した娘の思いを騙す訳にいかなくなったからだろう。
エゴとは無縁な伊野というニセ医者によって
本当の医療の意義が浮き彫りにされていく。
本物よ、頑張ってくれ!と言いたくなってきました。
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