ディア・ドクターのレビュー・感想・評価
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考察の女王、西川監督作品。本作ももちろん(笑) 鶴瓶が医者って時点...
水戸ナンバーの車があるので物語の舞台は茨城県と思われる。 無医村に年棒2000万円で中年医師の伊野は勤めている。 ベテラン看護師の大竹とふたりでさまざまな病気と向き合っていた。
動画配信で映画「ディア・ドクター」を見た。
2009年製作/127分/日本
配給:エンジンフイルム、アスミック・エース
劇場公開日:2009年6月27日
笑福亭鶴瓶(伊野治)
永山瑛太(相馬啓介)
余貴美子(大竹朱美)
井川遥(鳥飼りつ子)
松重豊(波多野行成)
岩松了(岡安嘉文)
笹野高史(曽根登喜男)
中村勘三郎(勅使河原恭平)
香川照之(斎門正芳)
八千草薫(鳥飼かづ子)
西川美和監督といえば、「すばらしき世界」(2021)、
「永い言い訳」(2016)を見たことがある。
2024年の今から15年前の映画。
笑福亭鶴瓶の初主演映画らしい。
水戸ナンバーの車があるので物語の舞台は茨城県と思われる。
無医村に年棒2000万円で中年医師の伊野は勤めている。
ベテラン看護師の大竹とふたりでさまざまな病気と向き合っていた。
ときには、認知症の老人の話し相手などもひきうけていた
伊野と大竹は村人たちに慕われていた。
そこに若い研修医・相馬が赴任してきた。
かづ子という独り暮らしの未亡人は胃を患っていた。
かづ子の末娘は東京で医師をしている。
かづ子は自分の病状について末娘に嘘をついてくれと伊野に頼んだ。
しかし、相手は医者である。
伊野の噓が通じる相手ではない。
伊野は医師免許を持っていなかった。
伊野は突然失踪する。
2時間を超える映画だが、上映時間一杯ぐいぐい引っ張られる。
満足度は5点満点で5点☆☆☆☆☆です。
配役が秀逸
タイトルなし
救いとは?罪とは?そんなメッセージ。
物事って、犯罪だとか、良し悪しで判断できないなあと思った。
罪だったとしても誰かの救いになったり、罪を犯した自分自身の救いになるから。間違いでも、ある側面では正しさがあるのかもしれない。そんな問いかけを感じる。
胃がんのかづ子に胃潰瘍だと伝えた嘘。伊野が医者だという嘘。
このふたつの嘘は、患者をどんな風に死なせるか、という問への肉迫であると思う。
ラストシーンの伊野の笑顔と、かづ子の笑顔には、秩序を伴わない暖かさがあった。
昨日の神さまは、秀逸なタイトルだと思う。たとえ嘘でも、罪だったとしても、伊野は神さまだったのだ。
寂れた診療所とカナブンの死骸。伊野という存在がもたらしていた救いが、明白だった。罪というラベルを貼られていても、昨日まで伊野は確かに医師であり、救いの手を差し伸べていた。そして、伊野が失踪したのは、かづ子の娘と自分を重ねたからではないか、とも思う。
それにしても鶴瓶が良かった。ハマり役だ。
ラストシーンの余韻が続く良い映画。
消化不良みたいな展開
嘘か誠か
村では、その医者がいるだけでみんなが救われていた。
誰もがその先生のおかげでと感謝していた。
若い研修生もその先生が活躍する姿に魅了されていた。
けど、その先生には、医師免許が無かった。
誰もがそんな事を気づかない程にみんなの中には、確実に存在していた。
自分が村を救おうと思っていても、そこまでなれるのか?
この先生は、慕わればするほどに自分の行為が許されるのか?
どうしたらいいのか?
後に引けなくなってしまったという葛藤と誰かを救いたいという気持ちの中でもがいているのではないか。
最後の逃げ出す所は、自分の力では救う事が出来ない。早く本当に医師に見せてくれ!というメッセージだったんだと思う。
生きる事がこれほどまでに辛い事はないと思う。
これほどまでに綺麗な嘘もないと思う。
気持ちが前に向けても正しい事ではない。
誰かの救いは、最後のシーンに集約されていたな。
じわりと来る
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ある過疎の村の唯一の医者の鶴瓶は村人の尊敬を一身に受けていた。
そんな折にエイタがインターンでやって来る。
しかし実は鶴瓶はモグリであり、やがて警察の捜査の手が伸びる。
患者の八千草は胃ガンだったが、娘に知らせないよう鶴瓶に頼んでいた。
医者である娘は心配になり、鶴瓶の元を訪れて直接状態を聞く。
鶴瓶は我慢できなくなり、この娘に全てを伝えて突然去る。
結局八千草は説得に応じて都会に出て、娘の病院に入院。
そんな折に飲み物の配給に来たおっさんが鶴瓶だった(場)
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典型的な徘徊型の映画で、ストーリーは上記だけ。
正直おれに、こういう正統派の、映画らしい映画を見る目はない。
なので何が良くて何が悪いとかは論じれないが、何か良かった。
まあ人間味あふれる鶴瓶のキャラクターが良かったからかな。
でもやっぱり意味がわからんところは多かった。
そもそも鶴瓶は何のためにモグリの医者をしていたのか?
まあ生活のためってのはあるやろうし、
最初は過疎の村でならバレないと思って始めたってのもあるだろう。
自分はそんなええもんやないってエイタに言ったシーンもあった。
でも親身になって患者の立場で診察する姿勢が尊敬されていたし、
誰からも愛されるキャラクターであったのは事実。
バレないために常日頃からそういう演技を欠かさなかっただけ?
それとも本質的に善人だったのか?そのあたりはわからない。
まあ最後のシーンを見る限り、後者だったって事やろうけど。
それから刑事の異常にLな態度も意味がわからない。
とは言え、その刑事も悪い人間ではないから、
鶴瓶と対極のキャラクターとして存在したわけでもない。
うーん、やっぱり良くわからない。
もし時間がない時に見てたら、イライラしただけやったかも知れない。
まあ所詮おれの見る目なんてそんなもんやけどね(場)
あと八千草薫が幾つになっても上品で素晴らしい。
アホな嫁は八千代千草とか言ってたけど。誰やねん(場)
資格…
人に先生と呼ばれる職業には資格がいる。医師、教師、弁護士など。この場合の資格はそれは法的なもの。その職業の本質である、受け手へのリスペクトこそ、本来持たなければならない資格でないか。それは資格というより資質というべきかも知れない。過疎地域での医療、自分の死に際など社会問題と共に色々考えさせられた。
足らんという事を受け容れてるだけ…
違法行為は罪となる、当然なのだが…。
村の誰もが助かる、安心して生活出来る、でも違法となる…。
違法である以上、方の番人は取り締まらなければならない、村人が困るとしても、不安な生活になるとしても…。
なんだか哀しいというか寂しい感情が湧き上がった。
最後、感情的に追い込まれて逃げるしか無かったんだろうけど、逃亡する事でつき続けた嘘からも逃げる事になってしまう。
ただ、そんな上手く成りすます事が出来るのか?って疑問は無粋なのかな…。意外と出来るものなのか…。
正しいとか間違ってるとか、なんとも難しい……。
そんな所業を踏まえた上で、ラストシーンでは思わず一緒になって、ニッコリと返してた。
ソレが答えなのかな……。
良い間の取り方で格上げ
本物の愛
【”医は仁術也。人救うを以って、志とすべし”今作は、西川美和監督が、現在でも解消されない”無医村”の問題に対し、大いなる問題提起をした作品である。】
■山間の小さな村から一人の医師、伊能治(笑福亭鶴瓶)がある日忽然と失踪する。
その男、伊野は過疎地で住民の医療を一手に引き受けており、村の人々から先生と呼ばれて親しまれていた。
東京から来た研修医の相馬(瑛太)も彼の働きぶりに共感を覚え始めていたが、伊野の素性を知る者は誰もいなかった…。
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
ー 久方ぶりに鑑賞したが、西川監督の手腕に唸った作品である。ー
・伊能を演じる、笑福亭鶴瓶の最初は医師に成れなくて、無医村にやって来た(と思われる)背景から、彼が、無医村だった1500名の高齢者に”名医”として尊ばれる姿。
ー 彼は、そんな中、”医者になれなかった自分”を受け入れてくれる村人たちの姿や、自分自身も徐々に“承認欲求”を満たしていく・・。-
・彼は、そんな中、自己の利益に走る事なく、村人たちの為に、日夜奔走する。
ー 或る患者が、気胸である事を見抜き、伊能にアイコンタクトで指示を出す病院スタッフの夫が医師であった大竹(余貴美子)の姿も巧く描かれている。大竹は伊能が医師免許を持っていない事を知りつつ、彼をサポートするのである。-
・都会の開業医のボンボン相馬(瑛太)が、徐々に伊能に惹かれていく姿も良い。
■癌のステージ4になっていた鳥飼(八千草薫)が、子供たちの迷惑を掛けたくない・・、という思いで診察を拒む姿。だが、伊能の献身的な姿に、診察を受けようと決断する姿。
そして、鳥飼の医者でもある娘(井川遥)が、母の病状に気付き・・。
伊能は、安楽死を、娘は母を生かそうとする思いの中、伊能の真実が明らかになって行く・・。
<今作は、西川美和監督が無医村の現状をテーマにした、見応えある医療映画である。伊能の行った事は、法に触れるのは間違いないが、彼の行為は村の人々に確かに希望を与えたのである。
今作は、医療上の”罪と罰”に鋭く切り込んだ作品でもある。>
善と悪、現代社会に訴えます
住民達の嘘
ラストシーンがこの映画のレベルを一つ上げた。
主軸となるストーリーは、主演の笑福亭鶴瓶の嘘であるが、ラストシーンの八千草薫の笑顔で、過疎地住民の嘘が明るみになる。
鶴瓶の嘘が発覚し、掌を返す住民達に、世間の冷たさを感じ、後味の悪い終わり方をするのだと覚悟していたが、八千草薫の笑顔は、そんな住民達の本当の気持ちを代弁するようなもので、鶴瓶に対する愛情と感謝と信頼が見えた。
伏線は鶴瓶が瑛太に語った住民達への評価。
過疎地に満足している訳でなく、慣れて受け入れているだけだ、うる覚えだがそんな内容だったと思う。
過疎地に限らず、一般的に罪とされることをした人に対して、「それでもいい人だ」となかなか言えないし、言ったところで何も変わらないので、皆受け入れて空気を読んで罪人を非難する。
社会秩序として法律の遵守はもちろん大切なことであるが、人の人を思う気持ちは法律に縛られず、どこまでも自由だ、そんなささやかな気持ちを八千草の笑顔に感じた。
かと言って、すごく善人として鶴瓶が描かれている訳でもないというバランス感が、監督のセンスが卓越している点だと思う。
それまで無医村だった僻地で奮闘し、村民の救世主となった鶴瓶は実はニ...
西川美和の見つけたもの
医者とは 医者ってどうやったら医者っていうのか。 免許持っていたら...
医者とは
医者ってどうやったら医者っていうのか。
免許持っていたらいいのか。
限界集落にわざわざ行きたがる医者は極わずかだという前提で考えると、
免許持っていない人でもいいんじゃないのか。
あの先生には人に寄り添える力がある。それだけで医者のように精神面だけでも助けになっていたはずである。
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