オーストラリアのレビュー・感想・評価
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盗まれた世代をピックアップした芸術作品
今作は物語であり、ノンフィクションではない。 オーストラリアの景色も、零戦や船のディテールも、当時の人々の服装も何もかも全て拘った映像。 リアルさを追求し、静寂も含め音にも徹底的に拘っている。 しかし、実際の人物、団体、出来事とは関係ない。 今作の見どころは人の心の変化、立場の変化、世界の変化。 すぐに急に変わるものと、時間をかけてようやく変わるものを丁寧に描いている。 空から神の使いのように現れた大日本帝国軍の戦闘機が、白い悪魔のようにも見えるが、結果的にサラ・アシュレイ(ニコール・キッドマン)とナラにとっては奇跡的な魔法のような効果をもたらし、さらに悪の支配を終わらせ、世界を良い方向に変化させていて面白い。 二部構成(前半は牛を回収する西部劇で、後半は別れと再会の戦争映画)で本編166分と長尺だが、面白くて繰り返し視聴した。 迫力満点なので大画面での視聴をおすすめしたい。
地平線の見える乾季の大平原。 地響きを立てて疾走する牛馬の群れ。 過酷な自然を相手の人の営み・・
いい映画です。大地の匂いがするさわやかな作品でした。 歌声は通じる。歌声は願いをかなえる。 オーストラリアの先住民アボリジニの人間復活を祈る鎮魂の祈り。 地平線の見える乾季の大平原。 地響きを立てて疾走する牛馬の群れ。 過酷な自然を相手の人の営み・・ カントリーアンドウエスタンのメロディーに乗って 繰り広げられる大地の歌。 この映画は赤い大地の西部劇です。 カメラワークが美しい。 アボリジニのハーフ・ナラ少年(ブランドン・ウォルターズ)が 亡くなった母親に抱きついて泣きじゃくる 高い水槽の俯瞰シーンがことのほか美しい。 クレーンがまっすぐ上空にカメラを引いて行くと せわしなく走る家人や去って行くジープ。 やがて気の遠くなるような果てしない地平線が 少年の無念を歌い上げる。 そのナラ少年の大きな瞳が印象的な アボリジニの神秘的な人間性がこの映画のテーマかもしれないが、 英国からこの地で農地を営む夫を訪ねてきた女性 サラ(ニコール・キッドマン)の様変わりようはどうだろう。 気が強く、細くて背の高いイギリスの女性が雇ったカウボーイ、 ドローヴァーに恋してから艶っぽく変身して行くのは、 キッドマンのこの映画に込める思いと彼女自身の成長なのでしょう。 そして乾季になったら野生馬を求めてふらりと居なくなるカウボーイの ヒュー・ジャックマンが「大いなる西部」のグレゴリー・ぺックにそっくりだから、 いやがうえにも西部劇になるのが嬉しい。 物語はロバート・ゴダードの大河ミステリーを観るよう感動的な物語。 ネタばれを一つだけ許してもらえるなら、 崖に向かって狂ったように暴走する牛の群れの 前に立ちはだかるナラ少年の祈りの歌が 切迫した緊張感と共にが涙をそそりました。
魔法の国オーストラリア
「私だって魔法くらい使えるわよ」「俺だって鉄の爪が生えてくるわい」という会話があったかどうかは知らないが、『オズの魔法使』とそのテーマ曲がふんだんに盛り込まれていたのは嬉しいことです。特に、「虹の彼方に」の旋律に孤児たちの賛美歌が重なる音楽にはふるえがくるくらい美しい使われ方。 今作の主演女優ニコール・キッドマンが義援金を募っていた今年2月のオーストラリア山火事のニュースは記憶に新しいところですが、美しい自然の裏側で苛酷なまでに乾燥した大地であることも伝わってきました。洗車するにも水を使っちゃいけない法律があるなど、日本では考えられないことです。 アシュレイという名前によって記憶が甦り、オーストラリア版『風とと共に去りぬ』とも揶揄されるほどの戦時下ロマン大作ではありましたが、冒険モノの要素もあり、戦争や人種問題も絡んで見応えのある作品となっていました。意外にもアボリジニと白人との混血少年ナラのナレーションによって進められ、彼の祖父キング・ジョージの神秘的な姿が印象に残ります。その辺りの演出は若干チグハグな感じもするのですが、終盤には気にならなくなりました。 何者かに夫が殺されたサラ・アシュレイ(キッドマン)の気高さと立ち直りの早さ。無骨で粗野なドローヴァー(ヒュー・ジャックマン)の華麗なる正装など、最悪な出会いから恋愛へと移行するストーリーよりファンを楽しませてくれるはず。そして、日本軍の侵攻というクライマックスでも胸が張り裂けそうになるほど主人公たちの安否が気になってしまいました。 脇を固める俳優も素晴らしく、日本軍よりも憎たらしく感じるフレッチャー(デヴィッド・ウェンハム)の存在感はたいしたものです(槍に縁がある?)。他にも飲んだくれの会計士や行動を共にするアボリジニも印象的。ほとんど歌を歌わないアジア系シングソングも気になるところ。 エンドロールで流れたドローヴァーのテーマはどこかで聴いたことある声とピアノ伴奏だと思ったら、やはりエルトン・ジョンだった。『オズの魔法使』を思い出させる「グッバイ・イエロー・ブリック・ロード」という曲もあることだし、ファラミアが履いていたワニ皮ブーツだって「クロコダイル・ロック」を思い出してしまう。ミュージカル映画に作りなおしたほうがよかったりして・・・ 【2009年3月映画館にて】
somewhere over the rainbow~ ♪
ただの美形大物オーストラリア人俳優二人の母国愛映画かと思って期待してなかったせいか、ものすごい感動してしまった。 映画2本見た気分。 オーストラリアの背景の合成がちゃちいのは多目に見よう。
第2次世界大戦目前の雄大なオーストラリアを舞台に描くアドベンチャー...
第2次世界大戦目前の雄大なオーストラリアを舞台に描くアドベンチャー・ロマンス。主演にニコール・キッドマンとヒュー・ジャックマン。
映像は
バズ・ラーマン監督の映画は映像も綺麗だし、語り手がいるストーリーの進み方はワクワクするんだけど、 この映画はちょっとストーリーがあんまりおもしろくなかったなあ… ずっと入り込めなかったなー 映像は綺麗!
なっちゃんには注意が必要
「シング・シング・シング」の音楽に乗ってヒュー・ジャックマンが酒場で大暴れ。そこにイギリスから“おてんば夫人”のニコール・キッドマンがやって来る。 車の外には初めて見る野生のカンガルー。大喜びするニコール。 次の瞬間…。 がははは。ここまでのコメディ調の流れは快調。 映画は、アボリジニの少年を通して見た主役の2人、ニコール・キッドマンとヒュー・ジャックマンの恋愛劇でもあり。オーストラリア社会にはびこっていた人種差別を逸れとなく糾弾した内容でもある。 当時の第二次世界大戦勃発に至る社会情勢も背景に組み込んでいます。 と、思わせて…。 何せ監督がバズ・ラーマンですから! 本当に撮りたかったのはズバリ!《西部劇》でしょう。 1500頭の牛を引き連れて目的地の港まで辿り着く間に妨害があるのですが、暴走する牛をどうやって止めるのか?が、この作品のハイライトになっていましたね。 昔テレビで似た様な内容の牛追い西部劇を見た記憶があるんですが、題名がどうにも思い出せず…。 バズ・ラーマンだけに、巧みにリメイクしている可能性が無きにしもあらず…って気もします。 何しろ映画の重要なキーワードとして、世界中に有名なあのファンタジーミュージカルを使用している事からも伺えますね。 その有名なミュージカル映画が封切り前なのに、何故ニコールは主題歌を知っているのか?何て疑問は止めて起きましょう。 上映時間2時間46分とゆう長編ですが、観ている観客の思いとしては後半の46分はやや蛇足気味か? 第二次世界大戦に突入する時代背景や、悪役の存在に少年の○立ちを含めて、必要なのは分かるのですが…。 2時間で収める恋愛劇だったならばきっと万人に受ける作品になった気がします。 ※ところで字幕を追って行くと、ところどころで「ん?なんか意味がよく分からねえなぁ〜?」って感じる時がちょくちょく在って、「あ?ひょっとしたらこの字幕はなっちゃんじゃないか?」と思ったら。案の定字幕担当はなっちゃんでした。 (2009年2月28日ユナイテッド・シネマ豊洲/スクリーン10)
退屈すぎる。
たる過ぎて見ていられませんでした。一時間くらいでギブ。 英語も難しすぎてさっぱり分かりませんでした。 初め英語字幕で三十分見て、まるで分からないので日本語字幕で見直しました。 次の三十分は見直してる途中で力尽きました。
いい部分もあるが、詰め込みすぎで理解も浅い
総合:70点 ストーリー: 55 キャスト: 75 演出: 70 ビジュアル: 80 音楽: 70 アメリカ西部をオーストラリア北部へ、黒人をアボリジニへと移した西部劇のよう。魅力的なヒロインと開拓の厳しさを描き、オーストラリア版の「風と共に去りぬ」といったところを狙ったのだろうか。それに差別やら歴史やらを詰め込んだ、野心的な作品になっている。 最も面白いのは前半の農場経営の困難であった。この時代らしい、競合相手からのあらゆる不正行為と妨害行為を受けて追い込まれながら、命懸けの起死回生策を実行する。雄大な自然を背景にしたダーウィンへの牛の厳しい移送が見所。 しかしどうも視点がオーストラリアの多数派の白人からの立場で作られているように感じる。白豪主義だった彼らなりの反省もあるのだろうが、それを深く掘り下げることを主題にした話ではないし、アボリジニからの視点はあまりない。それを感じさせることの一つが、アボリジニを超自然な力を持っている何か特別なものであるかのように描いていること。砂漠の横断の前に忽然と現れ道案内をしたりとか、同じ人類として見るというよりも何か神秘的な特殊な生物として存在しているかのようで、西洋人が理解できないものに対してとってつけたような古い解釈をしている。暴走する牛を崖への転落を防ぐ場面も同様で、こんな形でしか彼らを描くことが出来ないことを見ると、同じ人として生活をしている彼らを本当に理解しようとしているようには見えない。 結局詰め込みすぎなんじゃないか。しかも反省しているようで、本当は理解出来ていない。ひょっとすると言い訳して正当化しているだけなのか。苦境に立つ農場を、キッドマンが如何にして再生させていくのかに絞って制作したほうが楽しめたように思える。ただしアボリジニの超常現象なしで。 気に入らない部分もあったが、それでも映像と前半の農場経営の話が良かったので、そこそこに楽しめたとしておこう。キッドマンに加えて、子供のナラを演じた少年も魅力があった。
バズ ラーマン監督のオーストラリア観光ガイド
正直、前半は面白くなくて、つまらなくて、複雑で面白くなくて、途中で帰ろうと思いました。しかし、映画は最後までどうなるかわかりませんね。ラスト20分は本当によかったです。 本作の舞台は第二次世界大戦前のダーウィン。 物語は3部構成となっていて、前半はニコール キッドマン演じるイギリス貴族の女性の夫が所有する牧場とそこに居る約1500頭もの牛をどうするかという話。中盤はニコールとヒュー ジャックマン演じるカウボーイとのラブストーリー。そして、後半は日本軍がオーストラリアをどのようにして木端微塵にしたかという話となっています。 注目はニコール キッドマンが着こなす豪快衣装の数々、様々な技術を駆使したカメラワークそして、ラストの爆撃シーンですが、正直言いますとストーリーなんてこの際どうでもいいと思います。これは映画というよりは映画という媒体を使った監督自身のオーストラリア観光案内だと思います。つまり、観光名所や出演俳優さらには、動物等をいかにして美しく撮るかが、この作品の最大の焦点になっています。そして、実際カメラワークは素晴らしかったです。空撮等を上手く使っていて映像自体を見飽きる事はありませんでした。そういった点はよかったと思います。 それから、ニコール キッドマンやヒュー ジャックマンについてですが、二人とも素敵でした。特にニコールは本当に綺麗でした。あの爪楊枝のような細い体にあの衣装の着こなしはお見事といった感じです。きっとトム クルーズがこの映画を観たら「オラ、何で離婚しちまったんだぁ~」と思うことでしょう!しかし、残念ながらこの作品では格好をよくすること以外は二人には何も要求されていないため、演技力を発揮する事はありませんでした。それから、あのラストの爆撃シーンは最高でした。ああいったシーンを本当の爆破シーンと呼ぶのでしょうね。マイケル ベイや石原軍団も真っ青といった感じでしょうか? ただ、個人的に非常に残念だったのはストーリー面です。本作は悪までもビジュアル重視となっているので、ストーリーを求めすぎると痛い目に合うことでしょう! しかし、オーストラリアへ行った事のある人にもない人にも観てほしい作品です。
ハリウッド映画を観たっ!て気になりました
ニコール・キッドマン演じるサラが魅力的でした。新しい世界に仰天しながら、純に真直ぐに自分らしさを貫いているのが素敵です。アボリジニの少年ナラとの交流がまた、泣かせます。 カウボーイ物って久々ですが、いいですね。懐かしいっていうか、ハリウッド映画を観たっ!て気になりました。ヒュー・ジャックマンがカッコ良いです。 ナラを通じてアボリジニや黒人の当時の立場も描かれています。 第2次世界大戦当時、結局、両陣営が人種差別をし、命の重さをを差別によって振り分けていたことに心が痛みます。
いい意味で大味
ハリウッド製オーストラリア版西部劇。 いい男といい女、身分違いの恋、冒険と娯楽要素盛り沢山。 けど、それが古臭い感も。 一緒に見た友人は、ヒュー・ジャックマンの大ファンに。 確かにカッコ良い。
視点が定まらないため、ストーリーが揺れていた・・・
アボリジニの子ナラならナラの視点からに絞ればよかったのに、サラやドローヴァーに移ってしまうため、こちらもぐらぐらして誰に感情移入して観ればいいかわからず、混乱した。スケールの大きな話を作ろうとしたラーマン監督の意欲は買うが、残念ながら失敗作と言わざるを得ない。
せっかくの作品が・・・
この映画、「風と共に去りぬ」みたいな作品だと思って観たら失敗する。たしかに“タラ”のように領地“ファラウェイ・ダウンズ”をホームとし、帰る場所があることの大切さを謳ってはいるが、第二次世界大戦突入はスケールを大きくする味付けに過ぎず、むしろ流れとしては「大いなる西部」に近い西部劇だ。映像も抒情詩的などと先入観を持たないほうがいい。CGをたっぷり使った現代的な描写だ。(日本軍による爆撃シーンは見ていて辛いが・・・) それでも単なるラブ・ロマンスもので終わらなかったのは、先住民アボリジニの少年ナラ(ブランドン・ウォルターズ)の存在。この少年、目元が魅力的だ。たしかに激動の時代の中でサラという女性が力強く成長し変化していく物語ではあるが、少年の目線でサラとの出会いから成人の旅立ちの儀式“ウォークアバウト”の時期を迎えるまでを描いた作品だと思った方がしっくりくる。 フレッチャー役デビッド・ウェンハムの悪役ぶりがよく、前半は久々にお茶目で明るいニコール・キッドマンで楽しめる。1500頭の牛の暴走も迫力がある。そして、時代の流れと変化を、街の酒場でのやりとりによって表現する演出が面白い。 せっかく面白い作品なのに、要は宣伝方法が間違ってる。
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