「 トータルでクリチャーやアクションでは素晴らしいものの、 ラビリンスのような予想外の決着を期待して見に行った人には、ちょっとがっかりするかもしれませんね。」ヘルボーイ ゴールデン・アーミー 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
トータルでクリチャーやアクションでは素晴らしいものの、 ラビリンスのような予想外の決着を期待して見に行った人には、ちょっとがっかりするかもしれませんね。
『パンズ・ラビリンス』の撮影中に思いついただけに、ラビリンスと共通デザインのクリーチャーが続々登場し、ギレルモ監督ならではのダークファンタジーの世界を展開。
代表格は歯の妖精。ちっちゃくてかわいいけれど、カルシウム分を好み、歯や骨ばかりでなく、ピラニアのように全身の肉体を食い尽くしてしまう、恐るべき存在なのです。こういうキモかわいいクリーチャーが登場するところが、ギレルモ監督ならではの描写ですね。
地下市場のシーンでは、無数のクリーチャーが登場するところがあって、よく見ると一匹ずつデザインが違っていたんですね。監督の懲りようのすごさを感じました。
市場の規模から言って、スターウォーズの異星の市場シーンを凌いでいるといっても過言ではないでしょう。
監督の描く世界は、プロデュースした『永遠の子供たち』を含めてどの作品も、キモ美しいのです。いや~な感じがするのにそれでいて圧倒的美しさを見せつけます。特に森の神エレメンタルが倒されたあと、周辺が森に変わり花吹雪が舞うシーンは、すごく神秘的で美しく感じられました。
物語は、世界中の民話、神話伝承をかき集められた中から作られたようです。後半以降に登場する風景はとても神秘的で、善なる魔物対悪なる魔物の対決にふさわしい舞台が用意されていました。
冒頭少年ヘルボーイに養父が語るゴールデン・アーミーの物語は、大人になったヘルボーイが追体験することになります。この辺は、親から子へお伽話の伝承にこだわりを持つギレルモ監督ならではのストーリー構成といえるでしょう。
また敵キャラとなるベツツーマ王国の一族は、エルフ族であり自然をとても愛する一族でした。エルフを敵キャラとした意図の中には、環境破壊に対する自然界の怒りを描く意図もあったのでしょうか。
王国のヌアダ王子がゴールデン・アーミーの封印を解く王冠を求めて、父の国王を殺すところのワイヤーアクションが圧巻でした。
そして、終盤の無数のゴールデン・アーミーが動きだし、ヘルボーイたちに襲いかかるシーンでは、大迫力のアクションを見せつけます。
壊しても復活するゴールデン・アーミーにどう立ち向かうのか。これは見てのお楽しみ。
それにしても、強面のヘルボーイは、すごくお茶目でした。でも好物の葉巻やチョコを取り上げると怖いことになりますよ~。そして無数のテレビ好き。いったい何台のテレビを持っているのか分からないくらい画面を並べて、自分がニュースになってしまった報道シーンを悦になってみているわけですね。
怪物の存在のもみ消しにに躍起になってきたBDRDのスタッフが、そんなのんきなヘルボーイにカンカンに怒るのも無理はありません。
そんなヘルボーイの上司となるクラウスがこれまた変わった存在。幽体離脱中に肉体を失った霊媒で、いわば空気人間。その生真面目な性格はかえって笑ってしまうところが多々ありましたよ。
あと忘れてならないのが、ヘルボーイの相棒エイブ。水棲人のくせに陸上もOK。ヘルボーイとは好対照で物静かで紳士的なのですが、C-3POのように愛嬌があります。
怪物たちを片付けたあと、ヌアラ王女への恋煩いをヘルボーイに慰められて、ふたりで陽気に歌うフレドリーなシーンが印象的でした。王子が襲ってきているのにですよ。のんきなもんだぁ~。
ああでも、エイブの恋は叶えてやりたくなりますね。弱気なだけに応援したくなるキャラでした。
トータルでクリチャーやアクションでは素晴らしいものの、ストーリー構成面では、疑問が残ります。
エレメンタルが倒されるまでの前半でいったんエンディングを迎えてしまうような展開にしてしまったところが惜しいと思います。せっかく魔物を倒したのに、全然市民から感謝しゃれず、魔物の仲間として避難されるヘルボーイの苦悩をもっと描いたほうが深くなったのではないでしょうか。
あと忘れてならないのが、ヘルボーイの相棒エイブ。水棲人のくせに陸上もOK。ヘルボーイとは好対照で物静かで紳士的なのですが、C-3POのように愛嬌があります。
怪物たちを片付けたあと、ヌアラ王女への恋煩いをヘルボーイに慰められて、ふたりで陽気に歌うフレドリーなシーンが印象的でした。王子が襲ってきているのにですよ。のんきなもんだぁ~。
ああでも、エイブの恋は叶えてやりたくなりますね。弱気なだけに応援したくなるキャラでした。
トータルでクリチャーやアクションでは素晴らしいものの、ストーリー構成面では、疑問が残ります。
エレメンタルが倒されるまでの前半でいったんエンディングを迎えてしまうような展開にしてしまったところが惜しいと思います。せっかく魔物を倒したのに、全然市民から感謝しゃれず、魔物の仲間として避難されるヘルボーイの苦悩をもっと描いたほうが深くなったのではないでしょうか。
加えてもっと予言通されたどおり暗黒面に落としまうのもアリだと思いましたよ。
ゴールデン・アーミーが復活しヌアダ王子と対決する後半でも、『パンズ・ラビリンス』で魅せたひねりがなく、割とあっさり決着します。
ラビリンスのような予想外の決着を期待して見に行った人には、ちょっとがっかりするかもしれませんね。