「日本語吹き替え版はちょっとね」ミーアキャット kerakutenさんの映画レビュー(感想・評価)
日本語吹き替え版はちょっとね
マンマ・ミーア」の予告編のあとに
しりとりのように「ミーアキャット」の本編上映・・
この二つの「ミーア」に関連はあるのだろうか??
などと、どうでもいいことが気になって・・・
関係ないですよねっ。
ついでに言うとキャットじゃなくて、カット(KAT)だし。
ネコじゃないし。
野生の動物の親子に思い入れたっぷりのナレーションをいれて
うるるん・・・とさせるドラマは数多くあれど、
ビジュアル的には、「しょせんケモノ」なんだけど、
このミーアキャットの家族、ものすごく人間っぽいです。
耳が小さく、ツルンとした顔をしていて、
二本足ですくっと立ち上がる様子は、未来人のようにもみえます。
擬人化、ということでは、申し分ないキャスティングです!
正面からみると人間みたいなのに、
横をむくと鼻が前につきだし、
しっぽを高く上げて四ツ足で走るときとの
ギャップがまたまたすばらしい・・・
好奇心旺盛のちびっこコロが生まれてから
一人前になるまでの成長物語なんですけど、
彼を危険から守り、生きるための術を教えるのが
1歳年上の「兄さん」というのがいいな。
子どもが使命感を感じて健気にガンバル・・・
というのに私はめっぽう弱いので、
もう最初から胸がキュンとしてしまいました。
でも良く考えたら、1歳年上、というのは
人間だったら「年子」だけど、
ミーアキャットだったら、10歳以上違ってるんですよね。
まあ、師範代、というか、部屋住みの親方みたいなもんです。
それ以前にあの「個体」はホントにコロの兄さんなんだろうか?
あんなに世話好きな兄さんがいるんだろうか??
もう気になりだしたら止まらないです。
そもそも大好きな三谷幸喜さんのナレーションだったので、
最初から信用して聞いていたんですが、
ポール・ニューマンのナレーションを(多分)忠実に翻訳しただけで、
三谷さんのキャラクターはまったく無視の文章と間合いが
「それはないよね」という感じ。
「危機」とか「過酷な」とか、滑舌を試してるとしか思えない
単語の連続で、ものすごく緊張して噛まないように読んでる
三谷さんが痛々しい・・・・
彼に面白いことを書いたりしゃべったりするのを封印してしまった
この企画×です。
ストーリーは見てりゃだいたいわかるんだから、
台本関係なしに、三谷さんが好きに台詞をいれちゃう。
それも2パターン以上。
これ、良くないですか?
DVDの特典映像にしてくれたら、
絶対に買うと思います。
ケープコブラとの奇妙な戦いとか、ミーアキャットのご馳走が
さそりとかゲジゲジとか芋虫みたいな気持ち悪い虫ばかりだったり、とか
つっこみどころ満載なのに、見えるまんまのナレーションでした。
三谷さんももっと面白いこといいたくて、うずうずしてたんじゃないかな?
内容としては、テレビの特番レベルなのですが、
カラハリ砂漠の映像は、美しい写真集を開いているようで、
静止画と思ったら、実は動画だったり、
自然のうつろいをギュッと凝縮していて、
温暖化に警鐘をならしつつも、
美しい大自然を満喫できました。
ただ、大きな動物との絡みのシーンは、
編集があまりにあざとくて、
(野生の動物に演技指導はできないから
しょうがないですが)何回かドン引きしちゃいました。
無事に生まれて当たり前、
無事に育って当たり前、
病気になってもたいていは治るし、
ちょっとしくじっても、命まではとられないし、
「生きてて当たり前」のぬるま湯生活にひたっている
私らには、ミーアキャットの家族には
教訓もたくさんもらいました。
小中学生にはぜひぜひ見せたいです。
「カラハリの夕日を見られるのは
きょう一日を生き、勝利した者だけ」
もっと、一日一日生きている幸せを
感謝しなければと思いました。
人間とは無縁(のようにみえる)広大な南アフリカの自然の
映像に、きもちよく余韻に浸っていたら・・・
キマグレンの「サヨナラの朝」がおちゃらけたテンポではじまり、
ひっくり返りそうになりました。
キマグレンも好きだし、この曲も良いと思うんですが、
このタイミングの悪さは何?
日本語版制作スタッフ、なんとかしてほしいです。
字幕版は上映していなかったので、
私に選択の自由はなかったのですが、
日本語吹き替え版ははっきりいって失敗だったんじゃなかったかな?
三谷幸喜氏もキマグレンも好きなだけに残念です。